研究課題/領域番号 |
19K14625
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 尚孝 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20819669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | テラヘルツ分光 / 光誘起相転移 / 鉄系超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
光の照射によって電気伝導や磁性などの物性を変化させる現象は光誘起相転移と呼ばれる。一般に光照射は物質のエントロピーを増大し低温相から高温相へ転移するが、複数の秩序が競合する系での振る舞いは自明でなく、光による秩序状態の形成や低温相への転移といった新奇な現象が期待される。本研究は鉄系超伝導体FeSeを対象に中赤外光照射による光誘起超伝導の実現を目指す。中赤外光によって電子遷移やフォノンを選択的に励起することでフェルミ面の動的変調を誘起し、テラヘルツ分光により非平衡超伝導状態を観測する。相制御の研究によって、軌道秩序と超伝導の相関や鉄系超伝導の発現機構に関する重要な知見が得られると考えている。
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研究成果の概要 |
本研究では、光の照射によって鉄系超伝導体の超伝導を転移温度以上で発現する、光誘起超伝導の観測を目標として実験研究を行った。超伝導と電子ネマティック相を示すセレン化鉄、およびそのセレンを一部テルルに置換した試料を用いて光励起状態をテラヘルツ分光によって調べた。その結果、テルル置換のセレン化鉄薄膜の超伝導状態において、近赤外の光の照射によって超伝導が増強する振る舞いが、テラヘルツ光学伝導度測定と第3高調波発生の実験によって観測された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的な意義として、本研究で観測された光誘起超伝導増強は、鉄系超伝導に特徴的な強いバンド間相互作用を光で変調することに由来すると考えており、これは光による鉄系超伝導体の超伝導の制御につながるだけでなく、鉄系超伝導体の超伝導発現機構についての重要な知見となる可能性がある。また、パルスの光による超伝導状態の変化は、1兆分の1秒の時間スケールで起こり、超高速なスイッチングデバイスなどへの応用を含めた展開が期待される。
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