研究課題/領域番号 |
19K14633
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
篠北 啓介 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (60806446)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 光物性 / ナノ材料 / 半導体物性 / ナノ光科学 / 原子層物質 / バレートロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
近年、結晶内の運動量であるバレー自由度に着目することで、省エネルギーな次世代情報プロセスを達成しようとするバレートロニクスが注目を集めている。本研究課題では、運動量空間のバレー自由度とスピンの自由度が結合した「バレースピン」による新規な機能性が発現する原子数層の二次元遷移金属ダイカルコゲナイドにおいて、バレースピン分極ダイナミクスの高精度測定、理論的な緩和モデルの開拓、その緩和の制御を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、運動量空間のバレー自由度とスピンの自由度が結合した「バレースピン」による新規な機能性が発現する単層遷移金属ダイカルコゲナイドにおいて、バレースピン分極緩和メカニズムを解明し、その緩和の制御を目的とした。単層WSe2の荷電励起子のバレースピン分極がナノ秒の長い緩和時定数をもつことが明らかにし、フォノンを介した緩和プロセスが支配的であることを明らかにした。さらに、複数の二次元遷移金属ダイカルコゲナイドを積層した人工ヘテロ構造の特異な基礎光学特性を明らかにし、バレーの自由度の研究を発展していく上で高いポテンシャルを有することを実験的に示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電子の「バレー」の情報をデジタル情報処理の0と1に対応させて利用する概念は「オプトバレートロニクス」と呼ばれ、近年注目されている。その実現にはバレーの情報の長時間保持が必要であるが、実際にはきわめて短時間で情報が失われてしまい、その緩和メカニズムの理解や制御が十分でないため、基礎研究や応用展開を妨げている。本研究で得られた成果は、バレー緩和現象のメカニズムの解明という基礎科学的な意義に加えて、応用展開へのデバイス構造のデザインに新しい指針を与える。本研究で得られたバレー物理の知見をさらに発展させることで、将来の高速・省エネルギーな光電子デバイスの実現につながると期待される。
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