研究課題/領域番号 |
19K14655
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田縁 俊光 東京大学, 物性研究所, 助教 (10771090)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 擬量子極限 / 電気抵抗振動現象 / 強磁場 / グラファイト / 薄膜 / ファンデルワールス積層 / ファンデルワール積層 / 量子極限 / 輸送特性 |
研究開始時の研究の概要 |
グラファイトの擬量子極限(10-30 T)において磁場に周期的な電気伝導率の振動が2017 年に発見され、注目されている。その振幅が量子化抵抗程度であることから量子現象由来である可能性が指摘されている。その起源として、結晶に積層欠陥による超格子が形成され、そのポテンシャル変調によって干渉効果が起こっている可能性が提唱されているが、直接的証拠はない。本研究では相対角度を制御した積層結晶を作製することで人工的に超格子を導入した試料を作製し、研究室レベルで行える小型のパルス磁場中での精密電気伝導測定と組み合わせることで、本現象の起源解明を行う。
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研究成果の概要 |
グラファイトの擬量子極限(10-30 T)において磁場に周期的な電気伝導率の振動が2017年に発見され、注目されている。その起源として、結晶に積層欠陥に由来する超格子が形成され、その面内ポテンシャル変調による干渉効果が起こっている可能性が提唱されているが、直接的証拠は示されていない。我々はこの現象をFETデバイス化した薄膜系において独立に発見して発表していたが、本研究の結果、面間方向の定在波がより有望な発現機構であることを提唱した。この2つの発現機構を峻別するために、人工的に積層欠陥を導入した試料を作製し、面間定在波のメカニズムの場合に矛盾なく実験結果を説明できることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で提唱した定在波メカニズムは、量子極限で発現する電気抵抗振動現象がこれまで知られていた量子的な振動のいずれとも異なる現象である可能性を示唆した。まず、磁場に対して周期的であることから、磁場の逆数に対して周期的なシュブニコフドハース振動と呼ばれる量子振動とは明確に異なる。一方、磁場に対して周期的な振動であるアハラノフボーム効果(AB効果)とは異なり、高磁場でのみ発現する。量子極限における薄膜であるがゆえに磁場方向に沿った定在波が発生し、その有効膜厚に対応する波長の定在波発生条件が磁場に周期的であることに由来する。本研究によって、薄膜における量子極限特有の現象を明らかにすることに成功した。
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