研究課題/領域番号 |
19K14727
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
家城 斉 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 特任助教(研究) (70826940)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | シンチレーター / 波形弁別 / 散乱 / 光検出器 / ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 / 素粒子実験 / 極低放射能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、KamLAND-Zen実験におけるニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索を目指して、観測感度の向上に取り組む。現状、感度は背景事象の量で制限されており、なかでも自然放射性物質に由来する214Biの崩壊の影響が大きい。これを低減するため、発光バルーンの導入を検討しており、本研究はこの実現に向けてバルーン材の光学特性などの調査を行う。 発光バルーンが実現すれば、感度改善に伴って重要になる212Bi-Po崩壊も検出可能になる。発光バルーンと液体シンチレータの発光原理が異なることに着目し、バルーン材上で起こった背景事象と液体シンチレータ内の信号事象を波形弁別する方法を開発する。
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研究成果の概要 |
KamLAND-Zen実験における不純物に由来する背景事象の低減を目指して、発光フィルムのR&Dと波形弁別手法の開発を行った。発光フィルムはバルーン状に成形して使用する計画で、成形の過程で溶接されること、洗浄等の作業で多少傷がつくことを再現したサンプルを作成し、十分なキセノンガスバリア性があることを測定によって確かめた。 シミュレーションを基に、開発した波形弁別手法によって80%を超える確率で212Bi-Poの連続する崩壊を同定できることを確かめ、発光フィルムが背景事象の低減と有効体積の拡大に有効であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索感度を改善するには低放射能化が重要である。発光フィルムを検出器として実用できれば、現状で3番目に多い背景事象である214Biを遅延同時計測によって同定可能になり、信号探索の有効体積を広げることが可能である。本研究はフィルムが高いキセノンバリア性を持つことを確認し、高確率で背景事象を除去する波形弁別手法を開発して、発光フィルムの実用化に一歩前進した。
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