研究課題/領域番号 |
19K14972
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高村 紀充 福岡大学, 工学部, 助教 (10749419)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 純水 / 電気絶縁 / 抵抗率 / 窒素ファインバブル / 高分子 / 非イオン界面活性剤 / ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC) / グラフェン / 絶縁 |
研究開始時の研究の概要 |
油入変圧器の絶縁油には、環境汚染と枯渇が懸念される鉱油が主に使用されている。このため近年では、合成油や植物油を変圧器に使用する研究が進められているが、油以外の液体を変圧器に使用する研究はほとんど行われていない。研究代表者はこれまでに、環境に無害な純水の絶縁耐力が絶縁油の代替として使用可能なレベルであることを明らかにした。しかし、純水を変圧器の絶縁冷却媒体として使用するためには、抵抗率を向上させると共に、抵抗率の低下を抑制する必要がある。本研究ではDLCで被覆した金属を純水中で用い、窒素ファインバブルや高分子を純水に付加することで、純水の抵抗率と絶縁耐力を高めることができるか否かを明らかにする。
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研究成果の概要 |
窒素ファインバブル(FB)の付加により、純水の抵抗率と絶縁耐力はそれぞれ最大で1.8倍程度と1.3倍程度向上することがわかった。また、分子量が三千から百万の非イオン界面活性剤(高分子)を1×10の-7乗~1×10の-3乗 w/v%の範囲で付加することで、純水の抵抗率が最大で1.5倍程度向上し、かつ、抵抗率と絶縁耐力を高く維持できることがわかった。さらに、試験容器内の窒素置換回数が多いほど純水の抵抗率を高く維持でき、ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)やグラフェンで被覆した金属を純水中で用いることで抵抗率の維持や絶縁耐力の向上を実現できることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、石油由来の電気絶縁油(鉱油)の代わりに、持続可能で環境に無害な純水を変圧器の絶縁冷却媒体として使用するための基礎研究として、純水の抵抗率の向上と抵抗率低下の抑制を実現することを目指した。その結果、DLCやグラフェンで被覆した金属を純水中で用い、窒素FBや高分子を純水に付加することで、純水の抵抗率と絶縁耐力が高くなる傾向を見出すことができた。このことは、電力工学(電気機器)、電気電子材料工学(誘電体、複合材料)、ナノ材料科学(ナノコンポジット)などの幅広い学術領域において、大変重要な知見であるとともに、持続可能な社会の実現に貢献できる可能性があると考えている。
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