研究課題/領域番号 |
19K15129
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石松 一仁 明石工業高等専門学校, 都市システム工学科, 講師 (60724606)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 水循環 / グリーンインフラ / 緑道網 / モータリゼーション / 水循環基本法 / 土地利用計画 / コンパクトシティ / 地理空間情報分析 / 防災・減災 / 集雨・保雨・配雨 / 都市緑地 / 生態系インフラ / 雨水処理 / 土木構造物 / Eco-DRR / 雨水マネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
豪雨災害の激甚化に対して、土木構造物だけでは対応できないことが共通認識となっている。そのため、健全な水循環系の回復を目的とした水循環基本法が2014年に施行された。この法律に即した形で土地利用の最適化を図るためには、生態系インフラを核としたEco-DRRの推進が重要である。EUは生態系を社会資本と捉え、土木構造物と組み合わせて計画的に配置し、豪雨対策を講じている。一方、わが国では社会実装するための知見の蓄積が不十分である。本研究は、土木構造物と生態系をハイブリットした新しい土木技術及び土地利用計画手法を開発し、水循環系の再生及び人と自然の共生を推進するための先進的ブロック政策の提言に挑戦する。
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研究実績の概要 |
2022年9月4日から同月20日にかけてアメリカのニューヨーク,2022年12月24日から2023年1月1日にかけてドイツのベルリンをそれぞれ訪問し,人口集中地区における水循環に配慮したグリーンインフラ(GI)の実装状況を調査した.都市形成史が異なる両市に共通していることは,緑道網整備により今日の都市を形成した本質であるモータリゼーションの逆流を試みていることである.わが国ではモータリゼーションによって形成された都市構造の上にGI実装を試みているため,オープンスペース不足という物理的な限界にすぐに直面してしまう.一方,両市では緑道網整備によってモータリゼーションの逆流を図りつつ,都市構造自体をGI実装に適した形態に改造しながらGIを計画的に実装している可能性が高いと考えられる. わが国では高度経済成長期において,スプロール現象により低密度な都市空間が拡大した.この成長は自動車本位であるため,自動車の渋滞・混雑問題の緩和対策としてバイパスなどの幹線道路建設が積極的に展開された結果,その幹線道路沿いに商業施設が多数立地し,モータリゼーションが進展した.そして,土砂災害や水害などの自然災害に対して脆弱な土地にまで都市域が拡大し,生態系が内包する水循環システムと戦前に建設されたプリミティブな土木構造物だけでは水需要の増大や自然災害に十分に対応できなくなった.そのため,コンクリートと鋼材を主材とした土木構造物の積極的建設を主軸とする人工的水循環システムの整備が都市域で展開され,それに伴い生物の生息環境も大きく変化し,生態系サービスの質が劣化した.今後,わが国において健全な水循環系の回復を目的としたGIを実装するためには, 現在顕在化している諸問題の根本的な原因であるモータリゼーションの逆流を目的とした緑道網整備が必要あると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により,各国政府が厳しい入国制限を実施していたため,予定していた海外における現地調査が大幅に遅れてしまった.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果を学術論文として取りまとめ,国内外に向けて情報発信する.
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