研究課題/領域番号 |
19K15200
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
|
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
奥矢 恵 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40771689)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 山小屋建築 / 山岳信仰 / 山岳景観 / 室 / 室堂 / 御嶽山 / 白山 / 立山 / 富士山 / 石室 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本を代表する山岳信仰の対象:御嶽山・白山・立山の山小屋建築を対象に、近世~近代~現代にいたる建築形態とその変容を明らかにする。申請者は、富士山の山小屋建築を対象に同様の調査研究を行い、近世から継承される形態や山岳景観の存在と、近世から現代への変容過程を明らかにした。本研究では調査対象を拡げ、山岳信仰にねざす山小屋建築に特徴的な形式を抽出、その形成要因を考察し、山小屋という建築類型の把握を一層進める。さらに、これらの成果より、山小屋建築の文化的・歴史的価値を見出し、保存と利用、歴史をふまえた改修や再建案の策定に活かし、継承に役立てたい。
|
研究成果の概要 |
本研究は、山岳信仰の対象:御嶽山・白山・立山に着目し、近世から現代に至る山小屋建築の形態とその変容を検討した。御嶽山では、近世後期より杣小屋や籠り堂と関連する平面形式がみられ、現在も継承されていることを明らかにした。白山では、近世前期まで石垣で囲まれた頂上社殿とその直下にある室・堂が核心的な山岳景観を形成したが、近世後期の平泉寺支配後に堂が廃絶し、室も淘汰されたことを把握した。立山では、近世は室堂のみが存在し、その特異な構造形式は積雪対策だけでなく加賀藩の威信を表徴した。明治には近世の登拝道沿いに茶屋が増設され、大正末には富山県が国立公園指定をめざし、山小屋を集中的に新設したことを把握した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では古来より山地が信仰の対象とされ、近世には庶民が講を組織して高山の山頂をめざしたが、その登拝活動を可能にしたのは山小屋の存在であった。しかし、これまで研究対象として看過されてきたため、こうした山小屋建築の歴史的・文化的価値が評価されないまま現代的に建て替えられ、各山域に固有の建築形式やそれらが成す山岳景観が失われている。申請者の先行研究の対象である富士山と本研究の成果をあわせて、日本の山岳文化の一端を形成してきた信仰にねざす山小屋建築という建築類型の把握を進めることができた。山小屋建築の将来像を模索する上で本研究の成果が果たす役割は大きいと考える。
|