研究課題
若手研究
結晶において、ある1つのサイトに2種類の異なるイオンが占めた際にこれらが規則的に配列(オーダーという)することがある。オーダーの有無によって、その物質が示す磁性や電気特性などの物性は大きく変化する。本研究では、銅系高温超伝導体の母構造と同じK2NiF4型構造における、遷移金属イオンのオーダーと物性に注目した研究を行う。具体的には今までに合成が報告されていない、(La1/2Sr1/2)4MnNiO8 や La1/2Sr1/2)4MnNiO8が示す二次元的な強磁性や、Sr4CoNbO8やSr4CoTaO8、Sr4MnNbO8やSr4MnTaO8における特異な電子状態についての詳細を明らかにする。
異なるカチオンを組み合わせて交互に配列させることで,新たな電子物性を生み出すことを目指した。特に本研究では,K2NiF4型構造およびその類縁構造であるペロブスカイト型構造における、カチオンオーダーやカチオンの組み合わせが生み出す新たな電子状態に着目した物性と機能に関する研究を行った。これらの研究を通して、次の2つの主な発見があった。①(1-x)PbVO3-xBiCoO3における金属間の電荷移動に起因した極性構造制御、② CaMn1-SbxO3における温度変化だけで磁化反転する現象 を発見した。本研究を通じて、元素を巧みに並べることで、新しい電子物性や現象の舞台を作れることを見出した。
本研究課題では、アクチュエータや振動発電、巨大負熱膨張材料への応用が期待される極性構造制御や次世代の磁気記憶素子やセンサへの応用が期待される温度による自発磁化方向制御など、カチオンオーダーやカチオンの組み合わせが生み出す新たな電子状態という基礎学術的な事象に注目しつつも、実社会への応用可能性を持つ発見をすることができた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
Applied Physics Letters
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https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/08/press20200825-02-ion.html