研究課題/領域番号 |
19K15351
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 敬也 京都大学, エネルギー科学研究科, 特定助教 (90748550)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | プロトン伝導 / 量子効果 / 電解質 / 電解合成 / 燃料電池 / プロトンチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
プロトン(H+)伝導性の湿度依存性が非常に低い、酸高密度構造における新規H+伝導機構Packed-acid mechanismの発現条件を探索・拡張し、実用化への可能性を広げる。硫酸・リン酸等の酸溶液(溶媒は水やピリジン等)の濃度を変化させ、各濃度におけるH+伝導度・H+拡散係数・活性化エネルギー・酸解離度等を調べる。これより、Packed-acid mechanismでH+伝導性が向上する条件を探索する。また、酸溶液を量子化学計算によって再現し、分子動力学計算でH+の挙動を観察して、伝導度が向上する原因を解明する。そして更なる伝導度向上の指針を得て、実験側にフィードバックをかける。
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研究成果の概要 |
種々の酸、及び水と異なるプロトンアクセプターにおいてPacked-acid mechanismが起こる条件に及ぼす影響について調査した。量子化学計算によって解析したところ、プロトンアクセプターの共益酸pKaが上がるにつれて、プロトンドナーはより低い酸pKaを用いなければ、プロトンドナー同士の酸相互作用が遠くの水素結合まで及ぼさないことがわかった。並びに、共益酸同士のpKaが高い場合は、共益酸による酸相互作用も小さいことがわかった。すなわち、プロトン受容性(塩基性)が低いプロトンアクセプターを用いた方がよりPacked-acid mechanismが促進されることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、Packed-acid mechanismをより引き起こすために重要な酸・塩基の選定に重要なパラメーターがわかり、Packed-acid mechanismが支配的に起こるプロトン伝導固体材料を開発するための設計指針を得ることができた。一方で、実験的なプロトン伝導度は、溶液の粘度と酸解離度に大きく影響されていることがわかった。また、酸高密度溶液では同位体効果が大きく現れることが実験的に示された。トンネル効果をより引き起こす条件を特定できれば、、通常なら起こり得ない難しい反応も酸・塩基溶液の相互作用に基づくトンネル効果で促進できることが示唆された。
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