研究課題/領域番号 |
19K15353
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
加島 敬太 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90710468)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ポリアニリン-エメラルジン塩 / ベシクル / AOT / アニリン / p-アミノジフェニルアミン / ラッカーゼ / チロシン / フェノール / enzymatic synthesis / PANI-ES / aniline / polyaniline / laccase / vesicle / template / ソフト界面 / ミセル / 酵素反応 / ポリアニリン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、需要拡大が続く導電性ポリアニリン-エメラルディン塩(PANI-ES)を、室温・pH3.5以上の温和な水相条件にて、混合・静置のみで合成する新手法を構築する。具体的には、酸化酵素として食品工業で使用されるラッカーゼを選択し、両親媒性分子が形成するソフト界面を分散反応場として導入することで、自発的かつ選択的にPANI-ESを合成する環境適応型プロセスを実現する。また、生成物に対するソフト界面の影響から反応機構を解明し、最適な反応条件を見出すとともに、PANI-ESの優れた特性を活用した応用例を提案する。さらに、本手法を新たな生体分子に展開し、新規なバイオマテリアルの創成に取り組む。
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研究成果の概要 |
本研究では流動性を有するソフト界面を反応場とした酵素反応による材料合成の構築として、ラッカーゼを用いた導電性ポリアニリン-エメラルジン塩(PANI-ES)の選択的合成を検討した。界面活性剤で形成した分子二重膜小胞体が最適なソフト界面として働くことを見出すとともに、アニリンとアニリン二量体(PADPA)を複合原料とすることで、安定な導電性を有するPANI-ES様の生成物が得られることを示した。また、ソフト界面が安定化した領域が形成されることで、PANI-ESが選択的に合成される機構を明らかにした。さらに、新規な原料としてチロシンとフェノールの反応を評価し、結合部位を制御できる可能性を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で着目したソフト界面を反応場として導入した酵素反応による導電性ポリアニリンの合成法は、温和なpH条件で化学的酸化剤を用いることなく、室温中で原料を混合するのみの簡便な操作で、目的分子を選択的に合成できる点で、環境適合性に優れた材料合成プロセスとして新規性が高い。特に、酵素として既に工業的な利用に実績のある食品工業用ラッカーゼを選択し、有効性を明らかにした点は、実用的なプロセス構築に有益な知見である。さらに、ソフト界面が反応の選択性を制御する機構を解明するとともに、新規な原料の検討として生体分子群の反応系に可能性を見出した点は、将来的な発展性に富んだ成果として価値の高い成果である。
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