研究課題/領域番号 |
19K15410
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 東京工科大学 (2020-2022) 首都大学東京 (2019) |
研究代表者 |
藤田 隆史 東京工科大学, 工学部, 助教 (30737565)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 金ナノ粒子 / 金属酸化物 / 抗炎症作用 / 担持金属触媒 / 金ナノ粒子触媒 / ナノメディシン / ナノリスク |
研究開始時の研究の概要 |
人類の生活に恩恵をもたらすナノ材料は、そのサイズのため、人間の体内に侵入し、毒性を示す危険性(ナノリスク)を併せ持っている。特に、化粧品や食品添加物などにも利用される酸化物ナノ粒子は、炎症を誘起し、その炎症の慢性化により肺炎等の重篤な疾患を引き起す可能性が指摘されている。 申請者らは、酸化物ナノ粒子に金ナノ粒子を担持した“金ナノ粒子触媒”の細胞毒性に関する研究過程において、“金ナノ粒子触媒”が抗炎症作用を示すという非常に興味深い現象を見出した。本研究では、金ナノ粒子触媒の抗炎症メカニズムの解明を行い、ナノリスク低減のための効果的な手法の提案を行う。
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研究成果の概要 |
Au/MOx触媒の合成と抗炎症作用の機構解明に関する研究から、以下の成果が得られた。還元雰囲気下での熱処理によりAuナノ粒子の粒径分散が改善された。Au/MOx触媒の抗炎症作用は細胞内での内在化によって発現し、細胞の生存率や貪食能に影響を与えなかった。Au/TiO2 > Au/ZrO2 > Au/CeO2の順に抗炎症効果があり、MOxナノ粒子の効果がAuナノ粒子の大きさよりも重要であることが示唆された。Au/TiO2およびAu/ZrO2の抗酸化作用が抗炎症作用に関与している可能性が示唆された。以上の結果から、Au NPsとMOxの相乗的な効果によって抗炎症作用が生じることが推察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ナノ材料は表面積に基づく特性を持ち、薬剤輸送や触媒に利用されるが、生体への毒性が懸念される。特にMOxナノ粒子は炎症を引き起こす可能性がある。研究代表者はAu/TiO2やAu/ZrO2が抗炎症作用を示すことを発見している。本研究ではAu/MOx触媒の抗炎症機構の解明を試みた。Au/MOx触媒が示す抗酸化活性が抗炎症作用に関与している可能性が示された。しかし、それだけでは説明できない結果もあり、複合的な機構も考慮する必要があった。本研究の成果により、生体に優しい金属酸化物や抗炎症塗り薬の開発が期待され、炎症性疾患の予防・治療に貢献できる可能性がある。
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