研究課題/領域番号 |
19K15577
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤井 翔 北海道大学, 理学研究院, 助教 (90725425)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | メカノクロミック発光 / レーザー誘起衝撃波 / 自己修復 / メカノクロミック発光現象 / パルスレーザー衝撃波 / パルスレーザー / 衝撃波 / 金属錯体 / メカノクロミズム |
研究開始時の研究の概要 |
力学的な外部刺激による発光変化(メカノクロミック発光)を示す金属錯体が多く報告されているが,作用させる力の定量は困難である.すなわち,『どの程度の力を,どの程度の時間作用させると現象が起こるか?』が不明である. 本研究では,パルスレーザー光を固体基板表面へ照射した時に発生する衝撃波を力学的刺激として用いる.この衝撃波は熱の影響を最小限に留め,パルスレーザー光強度で力の強度を制御でき,力の作用時間は基板の種類に依存する.衝撃波と顕微分光法を駆使して金属錯体におけるメカノクロミック現象の時間分解計測・定量化を行い,力学的刺激と分子間相互作用や分子内結合変化に関わる現象の学理を明らかにする.
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研究成果の概要 |
力学的な外部刺激により発光特性が変化する既報のメカノクロミック発光錯体に対して,レーザー誘起衝撃波を力学的刺激として作用させた.その結果,従来の力学的刺激であるすり潰しによって誘起される発光色変化において,少なくとも摩擦熱と摩擦力の2種類に起因する機構があることを明らかにした.また,レーザー誘起衝撃波のレーザーフルエンス依存性を調べることにより,力の定量評価が可能であることが示された.さらに,既報の金(I)錯体には自己修復を示す中間状態が存在することを見出した.このように,レーザー誘起衝撃波を力学的刺激として用いることにより,メカノクロミック発光現象について新たな知見を得ることに成功した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年,弱い機械刺激に応答して構造変化や相転移を起こす物質群の研究が展開されており,力学的刺激による発光変化(メカノクロミック発光)を示す金属錯体が多く報告されている.しかしながら,従来のすりつぶしによる機械刺激においては局所的な熱や力が発生するため,現象を支配する要因の決定は難しく,メカノクロミック現象の力学的理解は限られていた.本研究においてレーザー誘起衝撃波を力学的刺激として用いた結果,既報の物質群において摩擦熱に起因する群と摩擦力に起因する群があることを明らかにした.また,作用する力学的刺激を定量評価する実験系を提案できたことから,メカノクロミック現象の理解と発展に貢献しうる成果である.
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