研究課題
若手研究
コケ植物が生産する【矮雄誘導物質】の単離・構造決定と生合成経路の解明のため,生物検定法を用いた【矮雄誘導物質】の検出が最重要課題と位置付けている.続いて【矮雄誘導物質】の構造情報を質量分析装置やNMR等で取得するとともに,その物質が活性本体かどうかを証明したい.並行して次世代シークエンサを用いたトランスクリプトーム解析を実施し,生合成経路の解明に取り組みたいと考えている.
ある雌雄異株の形態をとるコケ植物のオス株は,メス株に接触するとメス株からのシグナルを感知して個体サイズを小さくさせ,メス株に半寄生状態で生育する。研究者はこの現象を司る物質の探索に挑んだ。現象の再現実験系の構築が最重要と考え,研究者がこれまで培養した系を中心に検討したが安定した実験系は見出せなかった。視野を拡大し,非無菌状態での培養と既知ホルモン分析から,1つ以上の植物ホルモンが関与し得ることを見出した。これらが現象に直接関わるか慎重に検討し,ホルモン変動も指標としながら物質の単離に向け準備を進める。
本研究で着目した現象と物質は植物の新たな繁殖戦略を物質レベルで明らかにできるものであり,重要な知見を提供できるものと期待する。植物には一つの花に雌しべと雄しべが共存する両性花,一つの株に雄花と雌花をつける雌雄異花,そして動物のようにメスとオスが別れている雌雄異株の形態が存在する。受精の効率,環境への適応性を考えると,どの形態も一長一短である。このような中,雌雄異株の形態をとったにも関わらず,受精の効率をあげるため矮雄という戦略をとったコケ植物の制御機構を明らかにできれば,植物の繁殖戦略と性分化の新たな概念を提唱できると期待できる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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