研究課題/領域番号 |
19K15826
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
須田 碧海 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (20789573)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 土壌化学 / ヒ素 / 有機質資材 / 水田土壌 / 酸化還元 / 土壌 / 有機物 / 還元 |
研究開始時の研究の概要 |
堆肥などの有機物を施用することで、土壌に含まれるヒ素の可溶化が促進されてコメのヒ素濃度が上昇する例が報告されている。しかし、どのような有機物で土壌ヒ素を可溶化しやすいのかはよくわかっていない。本課題では有機物の「分解されやすさ」に着目し、湛水土壌培養試験や放射光源X線分析などにより、1)分解されやすさの指標によって、施用した有機物の土壌ヒ素可溶化リスクを予測する方法、および2) 有機物の施用による土壌ヒ素の可溶化を低減する方法、を確立する。それにより、有機物の施用にともなうコメのヒ素濃度の上昇を抑制・回避する上で重要な情報を提供する。
|
研究成果の概要 |
有機質資材の施用は,水田土壌からのヒ素の可溶化(≒水に溶けることでイネに吸収されやすくなる)を促進する可能性がある。本研究から,微生物に分解されやすいとされる「酸性デタージェント可溶有機物」の含量が高い資材ほど,ヒ素可溶化促進リスクが大きいことが明らかになった。また,同じ有機質資材を施用しても,黒ボク土では低地土よりヒ素の可溶化が著しく少なく,資材施用による影響の大きさは施用された土壌の性質にも強く依存していると推察された。さらに,土壌中で資材を十分に分解させてから湛水することで,施用にともなう土壌ヒ素の可溶化を抑制できることが分かった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により,有機質資材による土壌ヒ素可溶化促進リスクの指標として,資材の「酸性デタージェント可溶有機物含量」を提示できた。これまで,資材施用にともなう土壌ヒ素の可溶化と資材の特性についての関係は未解明であり,学術的に価値のある成果である。さらに,湛水前に土壌中で有機質資材を好気的に分解させることで土壌ヒ素の可溶化を軽減できることを明らかにした。農業現場では,有機質資材の施用から短期間で湛水することが奨励されることもあるが,ヒ素の可溶化という新たな視点から再検討が必要である。以上のように,本研究の成果は水田における有機質資材の適正利用に重要な知見を提供し,大きな社会的な意義があると言える。
|