研究課題/領域番号 |
19K15890
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
阿部 充 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (50734951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 木材 / 化学処理 / エステル化 / 成形加工 / 微細構造 / 疎水性 / 熱可塑性 / 流動成形 / 脱リグニン / 誘導体化 / 細胞間層 / ベンジル化 / 細胞壁 / 成分抽出 |
研究開始時の研究の概要 |
木材の細胞と細胞の間に存在する細胞間層でのすべり変形による“超塑性的変形挙動”(流動現象)のメカニズムの解明と、これを利用した成形技術(流動成形)の課題の克服を目指す。そのために、適切にデザインされた溶媒を用いて、細胞間層を構成する成分の添加や除去、または誘導体化を行い、細胞間層における微細空隙の量やサイズと細胞間層成分の化学的性質を段階的に変化させる。これらの化学処理が木材の流動現象に及ぼす影響を明らかにすることで、ナノ~マイクロオーダーの木材微細構造の調整によって流動現象というマクロな変形挙動を制御するための知見を得る。
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研究成果の概要 |
本研究では、木材の流動現象のメカニズムの解明と流動プロセスの改善を目的として、化学修飾と脱成分処理を行った。化学処理によって木材の流動性は著しく向上した他、年輪の接線方向への流動と繊維方向への流動にはそれぞれ異なる要素が影響していることを明らかにした。また、得られた化学処理木材を素材として三次元成形体を作製することにも成功しており、成形品が高い疎水性を有し、かつ再成形も可能であることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
塊状態の木材の押出し成形や射出成形を可能にする“木材の超塑性的変形挙動”(流動現象)には不明な点も多く、コストや成形品物性にも課題が残るため、大規模な社会実装には至っていない。そのため、流動現象のメカニズム解明とそれに基づいた成形プロセスの設計が求められていた。本研究によって、化学処理によって木材の流動性を改善させることに成功した他、流動の異方性に影響する因子が示された。さらに、再成形によるリサイクルプロセスの構築や効果的な疎水性の付与にも一定の成果が得られたことから、再生可能資源である木材のさらなる利活用を促進させることが期待できる。
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