研究課題/領域番号 |
19K15938
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
竹村 泰幸 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 特別研究員 (10837199)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 底質改善 / 微生物燃料電池 / メカニズム解析 / 微生物生態 / 堆積物微生物燃料電池 / 栄養塩 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、堆積物微生物燃料電池(SMFC)による底質改善機構を探るため、SMFCが及ぼす影響を微生物生態学的側面から評価する試みである。これまで、富栄養化水域の底質にSMFCを適用した場合、底質の嫌気的雰囲気の緩和・硫化水素濃度の抑制・リンの溶出抑制等の底質改善効果を観測している。一方、なぜ底質改善が生じるかは不明であった。そこで本研究はSMFCを適用した場合に生じる①底質の物理化学的性質の変化と、②発電微生物の特定とその動態を解析し、③底質改善に関わる微生物群の動態を網羅的に把握することで、SMFCによる発電と底質改善効果の因果関係を解明するものである。
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研究成果の概要 |
堆積物微生物燃料電池(SMFC)がもたらす底質改善機構を解析するため、海域、河川、湖沼、公園池から採取した底泥について、閉回路(SMFCとして稼働できる状態)と開回路(通電できない状態)の比較実験を行った。その結果、SMFCでは湖沼底泥の間隙水中のリン濃度の低減効果が確認され、電気化学的影響によりリンがアノードに吸着された可能性が高いと考えられた。また、淡水系の全ての底泥で、発電能をもつメタン酸化古細菌であるMethanoperedens属がSMFCのみで優占することがわかった。すなわち、底泥中のメタンを酸化して発電(リンが溶出抑制される条件への変化)が促進された可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
富栄養湖沼などの底質改善技術として原位置処理が可能な堆積物微生物燃料電池(SMFC)を提案し、本研究により、電極(アノード)の電気化学的作用でリンが吸着されることによって、底泥からのリン溶出が抑制されるものと推察された。また、SMFCを適用した複数種の淡水系の底泥において、発電能を持つことが知られている嫌気性メタン酸化古細菌(Methanoperedens属)が優占したことから、この微生物の機能と発電や底質改善効果との関係性をより詳細に把握することで技術の効率化に繋げられると考えられた。
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