研究課題
若手研究
本研究では、イヌの難治性腫瘍に対する新規治療法の樹立を最終目標に、免疫チェックポイント分子や腫瘍抗原に対する抗体医薬を作出し、実用化に向けてその効果を検討する。作出する治療用抗体は遺伝子工学技術により、イヌに対する免疫原性の軽減を図ると同時に抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性や補体依存性細胞傷害(CDC)活性などのエフェクター機能を付与する。作出した抗体は目的の活性を示すかをイヌ由来の細胞を用いたin vitro試験により確認する。安全性を検討したのち、北海道大学動物医療センターに来院した腫瘍罹患犬に対し投与試験(臨床研究)を行って、治療効果を評価する。
イヌ腫瘍に対する新規治療薬の開発を目指し、本研究では遺伝子工学技術により抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性や補体依存性細胞傷害(CDC)活性などのエフェクター機能を付加したイヌ用抗体薬候補を作製した。作製した抗体について、抗原への結合性やエフェクター活性を検討したところ、in vitroの試験において良好な活性が認められ、イヌへの反復投与では安全性の懸念は認められなかった。現在、安全性についてさらに詳細な解析を進めているところである。本研究によりエフェクター活性を有するイヌ用抗体薬の作製が可能であることが実証され、その臨床応用に向けた道筋を開拓することができた。
本研究で作製したADCC活性やCDC活性などのエフェクター機能を付与したイヌ用抗体は、イヌ難治性腫瘍に対する新しい治療の選択肢の一つとして臨床応用・実用化される可能性があり、小動物医療の高度化に貢献することが期待される。本研究はイヌに対する抗体医薬の創出のモデルケースとなり、後続研究へ応用されることで関連分野のさらなる発展が見込まれる。イヌ腫瘍に対する新規治療薬の開発は、ヒトの類似疾患に対する治療法の開発においても有効性や安全性等の情報を提供できることから、医薬品開発にも有益である可能性がある。
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