研究課題
若手研究
本研究では、牛白血病ウイルス(BLV)感染症に対する新規制御法の樹立を目指して、免疫活性化効果を発揮する薬剤を開発または選抜し、BLV感染牛を用いた臨床研究によって被験薬の抗ウイルス効果を検証する。まず、BLV感染症における免疫抑制機序の解析結果を基にして、免疫抑制分子を標的とする阻害剤を開発あるいは選抜する。次に、候補薬の標的分子への結合性や免疫再活性化効果をin vitro試験により確認し、治療薬として有望な候補を決定する。そして、生体投与のために被験薬の大量生産系を確立し、BLV感染牛における被験薬の臨床研究(生体投与試験)を実施する。
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)感染症に対する新規制御法への応用を目指して、免疫抑制受容体を標的とした複数の阻害抗体を樹立し、免疫活性化効果と抗ウイルス効果を検証した。その結果、これらの阻害抗体を併用すると、ウシの免疫細胞におけるTh1サイトカインの応答が増強され、強力な抗ウイルス効果を示した。さらにこれらの阻害抗体を生体投与が可能な治療用抗体に改変し、哺乳類細胞の発現系を用いた大量生産に着手した。今後は、本研究で開発した治療用抗体について大規模な臨床研究を行い、BLV感染症の新規制御法への応用を進めていきたい。
近年、国内の農場ではBLV感染が拡大しており、日本国内の35%以上のウシがBLVに感染している。BLV感染の蔓延に伴い牛伝染性リンパ腫の発生も急増している。牛伝染性リンパ腫は届出伝染病に指定されており、その発生数は過去21年間で42倍に増加した。腫瘍を発症したウシは淘汰(全廃棄)の対象となるためその経済的被害は大きい。しかしながら、BLVに対する有効なワクチンや治療法は存在しないため、新規制御法の開発が求められている。本研究で開発した免疫抑制受容体を標的とした治療用抗体は、免疫活性化によって抗ウイルス効果を発揮することができ、BLVが国内に広く蔓延した現状を打破する新規制御法として有望である。
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