研究課題/領域番号 |
19K16114
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
芝井 厚 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (40823620)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 実験進化 / 大腸菌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は細菌の最適な突然変異率が決まる仕組みを、実験進化とモデルとの比較を通して明らかにするものである。まず、大腸菌の変異率を様々に操作し、実験進化を行って変異率と進化速度の関係を示す。その実験結果を数理モデルと比較し、変異率と進化速度との関係を決定するメカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
本研究は、細菌の突然変異率と進化能とのトレードオフ関係を実証・理解することを試みた。様々な変異率の大腸菌を増殖阻害剤添加環境で適応進化させ、その動態を観察することで進化能の違いを定量した。進化実験の材料として、大腸菌のDNA修復遺伝子を破壊させて様々な変異率を持つ大腸菌株を準備した。その結果、野生型に比べて数十~数百倍の変異率を持つ菌株の獲得に成功した。そしてこれらの菌株の増殖速度を測定し、高変異率化がもたらす増殖阻害効果を明らかにした。また全自動実験進化システムを駆使して多種の増殖阻害剤を用いた実験進化を行った。そして、変異率に対する進化能のピークを実験的に観察することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細菌にとって変異率が高いほど薬剤へ適応するための有益変異は多く生ずるはずであるが、同時に有害な作用を持つ変異による増殖阻害の効果もあるため、これらの間のトレードオフ関係が予想される。本研究では実験と並行してこのトレードオフの関係に基づくトイモデルを提唱した。そして、いろいろな作用機序からなる抗生物質での実験進化の結果と組み合わせ、殺菌剤よりも静菌剤のほうがよりよくフィットすることを明らかにした。これにより、当該のモデルの蓋然性や適用条件についても担保することができた。本研究の成果は適応進化の理解のみならず、人工進化の高速化や病原性細菌の薬剤耐性進化の抑制などを可能にするポテンシャルを有する。
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