研究課題/領域番号 |
19K16202
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
名倉 悟郎 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 助教 (50823423)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 休眠 / 兄妹関係 / 兄妹の競争 / 巣立ち / 分散 / 個体差 / マウス / 巣立ちの順番 / 哺乳類の適応進化 / 日内休眠 / ストレス / 性周期 / 食糞 / 血液性状 / 適応形質の選択 / 交換哺育 |
研究開始時の研究の概要 |
生息環境の変化に直面した動物は、自身がもつ適応形質から現況に適したものを判断し発現しなければ生残できない。しかしその判断は往々にして一様でなく、同種でも個体・集団のレベルでばらつきが見られる。こうした動物の意思決定の違いが何に起因するのかは殆ど分かっていない。これまでに申請者は、小型哺乳類の適応形質のひとつ「休眠」に着目し、その発現頻度が成熟したひと腹の兄妹内で異なること、更にその個体差が離乳以前に生じる「兄妹内の競争」に起因することを示唆してきた。本研究では胎仔期及び乳仔期の兄妹関係の詳細を明らかにし、これらが動物の意思決定と適応形質の進化に対し、どのように関係してきたのかについて考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、マウスの兄妹関係が成熟後の休眠発現のばらつきに及ぼす影響について検証した。その結果、先行研究と同様に、ひと腹兄妹のうち出生時体重の軽い個体の方が成熟後に休眠発現しやすかった。また、当該個体は他の兄妹と比較して巣立ちが早く、より新奇環境を好む傾向がみられた。これは、ひと腹兄妹で休眠利用性の高い個体の方が、より環境適応を迫られる新天地へと分散していく可能性を示唆している。一方で、休眠利用性の低い個体、すなわち出生時体重の重い個体は春機発動も早いことから、住み慣れた生活圏で早期に繁殖活動に参入すると考えられる。従って、休眠という適応戦略は家族関係と密接に関連しながら進化したと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多胎生の小型哺乳類では、離乳を迎えた仔獣が次々と巣立っていく。そのなかには住み慣れた生活圏を離れない保守的な個体や、それとは逆に新天地へと進出していく積極的な個体とが存在する。これらの分散様式に関わる各個体の特徴や性格は、近年少しずつ明らかにされている。本研究では、ひと腹兄妹にみられる休眠利用性の違いが各個体の分散様式にも影響する可能性が示唆された。つまり、分散様式は個々の能力に応じて決まっている可能性があり、少なくとも休眠能力は家族関係の影響を受けている可能性が高い。本研究で得た成果は、休眠という適応戦略の進化が家族関係にどのように影響を受けてきたのかを探る学術的意義の高い内容である。
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