研究課題/領域番号 |
19K16210
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
常木 静河 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10632789)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 繁殖干渉 / 繁殖様式 / 共生系 / クワガタソウ属 / カワヂシャ / オオカワヂシャ / 交雑 / 訪花昆虫 / 外来種 / 左右相称性 / 多様性 / 進化 / 繁殖生態学 / 放射相称性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、植物が昆虫に花粉を運んでもらう「他殖」と自分の花粉で受粉する「自殖」という繁殖様式をコントロールする上で、左右相称と放射相称という花形態の切り替えが重要な役割を果たすのではないかという疑問を明らかにすることを目的とし、左右相称な花をつける種と放射相称な花をつける種が多く含まれるクワガタソウ属の仲間を用いて、昆虫の訪花頻度とUV写真や計測による花形態にみられる左右相称性との関係を調べる。
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研究成果の概要 |
被子植物が多様化する過程で、左右相称性が進化したり、失われたりすることで、繁殖システムの転換している可能性を検討したいと考え、当初,外来種との混生集団では,カワヂシャへの訪花頻度が低くなることで,カワヂシャの繁殖様式や花形態が変化するのではないか,という仮説を立てていたが,混生集団で外来種の抜き取りを行ったところ,在来種への訪花昆虫相の変化は見られたが,訪花頻度自体は大きく変化しなかった.一方で,訪花頻度が低い集団では,雄しべと雌しべの接触時間の延長や種子数の増加,種子数のばらつきの減少がみられ,カワヂシャ集団が訪花頻度に応じて,開花特性を変化させている可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
被子植物の進化には、花形態の多様化が大きく関わっていると考えられている。本研究では、花形態の左右相称性に着目し、訪花頻度に応じて、左右相称性と放射相称性がスイッチするのではないかと考えた。研究より、同種内の11集団間で左右相称性に有意な違いはみられなかったものの、訪花頻度が低い集団では雄しべと雌しべの接触時間が長くなり、種子数の増加とバラつきが小さくなる傾向が見られた。このことは、訪花頻度が自然選択となり花の開花特性が変化することで、被子植物が環境に応じて自殖と他殖の割合を調整している可能性を示唆し、繁殖戦略のパラドックスと考えられてきた自殖と他殖を両立するしくみを解く鍵となる研究になりうる。
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