研究課題/領域番号 |
19K16242
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45050:自然人類学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
関 元秀 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (30647409)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 数理モデル / ゲーム理論 / 性的二型 / 同性内多型 / 性染色体 / 遺伝子多型 / 伴性遺伝 / 適応戦略 / 霊長類の色覚進化 / 対立遺伝子多型 / 模倣・社会学習 / 新世界ザル / 色覚 / ゲームモデル / アレル多型 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類は基本的に2色覚型であるが、霊長類のうちニホンザルやヒトを含む系統の基本は3色覚型であり、また中南米で進化した系統では2色覚個体と3色覚個体が混在している。従来、3色色覚は果実採取に有利であるから霊長類で進化し、中南米の系統は進化過程にあるという説が有力であった。しかし中南米の系統で2色覚/3色覚個体を比較すると、果実採取成績に差はなく、無脊椎動物採取成績は2色覚個体のほうが優れていた。そこで本研究は新たに「最も有利なのは3色覚個体と緊密な関係にある2色覚個体であり、色覚アレル多型は居住形態(父方居住、母方居住など)の影響も受けて維持されている」という独自仮説を打ち立て、検証する。
|
研究成果の概要 |
新世界ザル色覚やショウリョウバッタ対捕食者シグナル発信行動では、雌雄差と同性個体差が維持されている。これら多様性がどのような仕組みで維持されているか仮説を立て、数理モデルを用いて仮説の妥当性を検討した。新世界ザルは、もともとは赤と緑を区別できる個体が採餌で有利だが、赤と緑を区別しない個体も状況学習により最終的には同程度の採餌ができるようになるという仮定の下でモデルを分析し、フィールドデータと矛盾しない結果を得た。ショウリョウバッタでは、シグナルが発信者自身の被捕食率だけでなく近隣個体の被捕食率も下げる効果がある場合に、シグナルを発信する個体としない個体が共存しうることを示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
新世界ザル色覚多型は従来、超優性によって保たれているという説が支配的であったが、実証研究から赤と緑を区別できる個体と区別しない個体の間に採餌成績の差がないことが示唆された。今回の数理モデル研究では、赤と緑を区別しない個体が後天的学習によって赤と緑を区別できる個体と同程度の採餌ができるようになる場合でも、学習効率が集団の各タイプの頻度に依存する場合は多様性が維持されうることがわかった点に学術的意義がある。
|