研究課題/領域番号 |
19K16292
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕輔 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (90723669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ネットワーク / 空間表象 / 空間学習 / バーンズ迷路 / 尺度空間 / ネットワーク解析 / カルシウムイメージング / ナビゲーション / 認知地図 / 空間記憶 / ネットワーク表現 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄道の路線図のように,場所情報を"要約"したネットワーク表現は,素早く精確な経路検索に欠かせない.本研究では,ネットワーク構造を表現する神経細胞群の同定を目的とし,空間探索中のマウスの行動データから,探索地点をノード,それらの間の遷移をリンクとするネットワークを一連の構造パラメータによって定量化するとともに,それらと神経細胞群の応答との間の相関を検証する.本研究の成果は,多種膨大な場所情報をいかにして表現するかという脳の計算メカニズムの新たな一側面に迫る.
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研究実績の概要 |
認知地図の神経基盤として,場所の物理的・幾何学的な特徴が,海馬や内側嗅内皮質等の場所細胞や格子細胞等の神経細胞群によって表現されることがよく知られている.一方で,ネットワーク表現は,場所の物理的・幾何学的表現を “要約”した表現とみなせ,認知地図において重要な場所表現の一つとして用いられている可能性も十分に想定できる.しかし,その脳情報処理過程の解明は始まったばかりである. 本年度までの実績で,空間学習中の探索地点のネットワーク構造が尺度空間によって調整されることを発見した.具体的に,通常サイズ(直径 1 m)のバーンズ迷路(BM1)上の探索地点を結ぶネットワーク構造の媒介中心性は,空間学習に伴って減衰するのに対し,前者の 3 倍広いバーンズ迷路(BM3)でのそれは,学習が進んでも一定であった.この結果から,BM3 のような大尺度空間では,媒介中心性が一定となるように,異なる複数のエリアを接続するような ”ハブ” となる地点が学習後期においても維持され,一方,小尺度空間では,そのような地点は次第に消失することが示唆された. また,BM3 を先行して学習すると,後の BM1 での学習が促進され,ある種のメタ学習が成立していることが示唆された.このとき,BM ナイーブなマウスに比べ,BM3 を経験したマウスは,BM1 学習中に媒介中心性が顕著に減少した.一方で,BM1 を学習した後に BM3 を学習しても,メタ学習による促進効果は限定的であった.このとき,BM ナイーブなマウスも BM1 を経験したマウスも,BM3 学習中の媒介中心性の推移は同程度であった.これらの結果は,空間探索地点のネットワーク構造の媒介中心性が,尺度空間と空間学習順序の両方に調整されることが示唆された.これらの成果を論文化・投稿し,現在改訂中である.プレプリントは公開済である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を論文化・投稿し,現在改訂中である(プレプリントは公開済).2022 年度が最終年度であったが,昨年度までで新型コロナウイルスの影響で,実験装置の修理に必要な部品の調達が遅れ一部の実験が遅延し,論文採択が2023 年度にずれ込むことが予想されたため,補助事業期間延長を申請し承認された.
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今後の研究の推進方策 |
本研究論文出版までに必要な手続きをおこなう.学会やインターネット等で本研究成果を公表する.Github 等で本研究で作成したソースコードを管理,公開する.メタデータの作成など本研究データの保全を目的としたアーカイブ化を進める.
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