研究課題
若手研究
病原性細菌の感染機構や病原性発現機構を標的とした薬剤は、抗菌活性を示さない新たな感染症治療薬になると期待される。北里生命科学研究所では新たな創薬標的として、グラム陰性病原性細菌に特徴的な病原因子移行システム「III型分泌装置(T3SS)」に着目し、微生物培養液からT3SSを阻害する化合物の探索を行ってきた。その結果、オーロドックス類が新たにT3SS阻害活性を示すことを見出した。応募者は本化合物群の構造及び活性に注目し、オーロドックス類の収束的全合成を確立ならびに全合成手法を用いて重要なファーマコフォアの探索や抗菌活性とT3SS阻害活性の分離の検証を行い、新たな感染防御薬の創製を指向する。
大村智記念研究所において新たにIII型分泌装置阻害活性が見出されたオーロドックスの特異な生物活性ならびに特徴的な構造に興味を持ち、オーロドックスを基盤とした非抗菌的抗感染症薬の創薬研究に着手した。これまで本化合物の全合成例は一例しかなく、本合成ルートを創薬研究に利用することは困難であった。今回我々は本研究において、全合成に達成に向けて、3つに分割したオーロドックスの部分骨格の構築法の確立を行なった。実際に、安価な原料より数工程を経て、2つの部分骨格の構築を達成した。
オーロドックスの単離から50年近くが経過しているが、化学合成の報告は1985年の1例のみである。先に報告された既知の合成ルートでは、多様な誘導体を簡便かつ効率的に取得することは困難であったため、新たな化学合成法の確立が必須であったため、本研究では既存の手法よりも単工程で各骨格を供給できる合成ルートの確立を目指した。更に本合成ルートの確立は、高T3SS阻害活性化合物の探索など創薬研究に展開できる。病原性細菌の感染機構や病原性発現機構を標的とした薬剤は抗菌活性を示すことなく、感染源若しくは病原性因子移行のみを阻害する。故に薬剤耐性菌(AMR)が出現しない新たな感染症治療薬になると期待される。
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