研究課題/領域番号 |
19K16346
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田中 佑樹 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (50824041)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 銅代謝 / 新生児 / 化学形態別分析 / メタロチオネイン / 酸化ストレス / 銅 / ICP-MS |
研究開始時の研究の概要 |
新生仔期の動物は成体と比べて、肝臓において銅濃度の上昇が見られる。このような変化が、生理的な要因で受動的に起きるのか、成長のための能動的な戦略なのかという背景や機序の解明は、従来の元素濃度のみに着目したアプローチでは限界があった。本研究では、銅濃度に加え、化学形態、組織内分布、遺伝子発現量などのデータを取得し、新生仔の銅代謝の変動機序を解明する。さらに、血液脳関門が未発達な新生仔は過剰な銅によって脳が敏感に影響を受けると予想される。そこで、新生仔の銅摂取量を変化させ、脳における銅の分布と酸化ストレスの影響を経時的に検証する。
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研究成果の概要 |
胎仔期から新生仔期の動物の肝臓には成体に比べて銅が過剰蓄積していることが知られている。本研究では、ラット新生仔において肝臓中の銅濃度が生後2週から5週にかけて1/10程度に減少することを明らかにした。また化学形態別分析により成長とともに肝臓の銅メタロチオネインが減少する一方で、血清中の銅セルロプラスミンが増加することも明らかになった。肝臓における銅シャペロンAtox1の発現量が新生仔期に低いことが、肝臓からの銅排泄を抑制している可能性が示唆された。抗酸化タンパク質であるAtox1を含め、銅関連タンパク質の発現量は胎児期の低酸素環境下において成体と大きく異なる可能性が考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
銅は生体必須元素であり、生物の発生、発達に欠かすことはできない。一方、過剰な銅は生体内でフェントン反応を触媒し、活性酸素種の生成に寄与する。新生仔期に肝臓に過剰蓄積している銅はメタロチオネインに結合した毒性の低い形態で貯蔵されているものの、潜在的には銅が多量に存在しているため、正常な解毒代謝機構が破綻した場合や、栄養としての銅負荷が過剰になった場合には個体への影響が懸念される。本研究の成果によって、新生仔(児)期の特異的な銅代謝状態が明らかにされ、発生や発達に有害な影響を及ぼす可能性のある銅の適切な栄養状態を確保することの重要性が示された。
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