研究課題/領域番号 |
19K16406
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石川 雅之 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40824561)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 血液マーカー / 中枢移行性 / 髄液 / バンコマイシン / 蛋白結合率 / 中枢神経系副作用 / 髄液移行 / 薬物動態 / バイオマーカー / 脳脊髄液 |
研究開始時の研究の概要 |
医薬品による脳症等は、薬物が中枢神経に移行して発現する中枢神経系副作用であり、薬物療法を行う上で非常に重大な問題となっている。 薬物の中枢神経への移行は血液脳関門 (Blood Brain Barrier: BBB)によって制限されているが、BBBの薬物透過性は様々な要因によって大きく変動することが知られている。しかし、BBBの薬物透過性を予測する有用な指標が存在せず、薬物の中枢神経への移行性がほとんど考慮されていないことが中枢神経系副作用発現の原因となっていると考えられる。そこで、本研究は薬物による中枢神経系副作用を回避するために、BBB薬物透過性の血液指標について検討する。
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研究成果の概要 |
細菌性髄膜炎の21症例においてUCHL1およびGFAPの血中濃度は、薬物の脳移行を制御する血液脳関門の透過性を反映する髄液蛋白/血清アルブミン比 (CSF-P/SA比)と有意な相関を認めなかった。よって本研究では血液脳関門の透過性を予測する血液マーカーを見出せなかった。 一方、細菌性髄膜炎患者において、VCMの微生物学的有効性はCSF-P/SA比×VCMのトラフ血中濃度/起炎菌のMICと有意に相関することが示された。細菌性髄膜炎に対してVCMによる治療を行う際は血液脳関門の透過性の変動についても考慮する必要があるかもしれない。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、細菌性髄膜炎に対するバンコマイシン (VCM)の微生物学的有効性に、薬物の脳移行を制御する血液脳関門の透過性の変動が関与する可能性が示された。初期の抗菌薬治療の失敗が予後の悪化を招くと言われる細菌性髄膜炎の治療において、治療開始前の検査結果よりVCMの脳移行性を予測し、治療に活用することで細菌性髄膜炎の予後の改善につながる可能性がある。今後はVCM以外の薬物についても同様の検討を行うとともに血液脳関門の透過性の変動を簡便に予測できる血液マーカーについてさらなる検討を行うことで、脳における薬物の有効性や安全性の向上につながる可能性がある。
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