研究課題/領域番号 |
19K16525
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松本 早紀子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (00789654)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 海馬 / 微小管 / αシヌクレイン / 神経変性 |
研究開始時の研究の概要 |
微小管は中心体を起点とした細胞骨格および細胞内物質輸送のレールとして機能し、神経細胞では特に発達している。近年、当研究室では中心体に局在するSer/Thr脱リン酸化酵素Protein Phosphatase 4 catalytic subunit (PP4c) が増殖細胞の分裂間期において微小管のダイナミクスを制御することを突き止めた。そこで中枢神経系の成熟ニューロンにおけるPP4cの機能解明のため、ニューロン特異的PP4c欠損マウスを作製したところ、海馬の選択的かつ進行性の萎縮が認められた。そこで本研究課題では、PP4cの基質を同定し、PP4c欠損による海馬萎縮のメカニズムを明らかにする。
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研究成果の概要 |
微小管ダイナミクスを制御するSer/Thr脱リン酸化酵素PP4c の欠損マウスは、海馬組織が進行性に萎縮する。この神経変性メカニズムを明らかにするため、はじめにPP4cの中枢神経における相互作用タンパク質として、数種類のTubulinを同定した。またPP4c欠損が海馬ニューロンにおいてシナプス関連タンパク質が発現減少することから、同じ微小管関連タンパクでシナプスに局在するαシヌクレインに着目し、αシヌクレインの新しい翻訳後修飾ヒドロキシ化を発見した。PP4c欠損によるαシヌクレインのリン酸化亢進とそれに付随するヒドロキシ化によって海馬ニューロンの変性が誘発される可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
PP4c欠損マウスが示す海馬ニューロンの選択的かつ進行性の脱落は、アルツハイマー病における萎縮と類似している。PP4cと同じファミリーであるPP2Aはアルツハイマー病の原因であるtauタンパク質の脱リン酸化酵素である。さらに本研究において着目したαシヌクレインもアルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の発症に大きく関わる分子である。今後、PP4cの脱リン酸化活性とαシヌクレインのリン酸化およびヒドロキシ化の間にある分子メカニズムが明らかになれば、アルツハイマー病の発症機構解明や治療法開発の重要な足がかりになることが期待できる。
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