研究課題/領域番号 |
19K16570
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
山下 享子 公益財団法人がん研究会, 有明病院 病理部, 副医長 (50754975)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | テロメア維持機構 / 粘液型脂肪肉腫 |
研究開始時の研究の概要 |
粘液型脂肪肉腫では、テロメア維持機構として、2次的にテロメラーゼ活性化とALT(テロメラーゼ非依存性テロメア伸長)の両方が生じうる。本研究では、免疫染色やPCR、FISH法などを用いて両方のテロメア維持機構、さらにその原因となる遺伝子変化について調査し、アレイCGHを用いて染色体異常の複雑性を評価する。原発巣と再発・転移巣の比較および予後や組織像との関連についてこれらの結果を解析することで、粘液型脂肪肉腫の腫瘍進展についてより包括的に理解することができ、予後予測に有用となるばかりでなく、他の融合遺伝子関連肉腫の進展様式を検討する際にも有用な情報を得られると考える。
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研究成果の概要 |
TERTプロモーター変異が高頻度に認められる数少ない肉腫として知られている粘液型脂肪肉腫について、臨床病理学的検討とテロメア維持機構の解析を行った。TERTプロモーターのhotspot変異は7割強の症例で認められたが、予後と有意な関連を示さなかった。またhotspot変異陰性例でもTERT mRNAの発現が全例で認められ、陽性症例と同程度のTERT mRNA発現が認められた症例が半数近く存在した。結論として、粘液型脂肪肉腫におけるTERT異常は、腫瘍発生の早期に生じ、腫瘍形成に重要な現象である可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
実験結果を総合すると、他の多くの腫瘍とは異なり、粘液型脂肪肉腫におけるTERT異常は、悪性度と関連するような2次的な現象ではなく、腫瘍発生の早期に生じ、腫瘍形成に重要な現象である可能性が考えられた。さらに、TERTプロモーターのhotspot変異以外にも、TERTプロモーターの別箇所での変異や、TERT付近での染色体再構成によってTERTの高発現をきたす機序を示した。腫瘍形成におけるTERTの役割について新たな観点が得られたとともに、TERT発現上昇をきたす分子機構についても明らかになった。
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