研究課題/領域番号 |
19K16588
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小野 佑輔 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90812355)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 膵がん / レチノイン酸 / ビタミンA / レチノイン酸代謝酵素 / 膵癌 / 星細胞 / 線維化 / 代謝酵素 / CYP26A1 / タイト結合 |
研究開始時の研究の概要 |
膵がんでは線維化が豊富におこっており,がんの発生に関わっている.一方膵星細胞はビタミンAが欠乏することで活性化し,線維化に関与すると考えられているが,詳細な分子機構は不明である.私たちはこれまでに,レチノイン酸代謝酵素CYP26の異常発現が星細胞でのビタミンA欠乏を引き起こし,さまざまな病態と関わることを解明した.この成果から,膵星細胞の活性化機構は,CYP26の異常発現によるものと推察した.これらを踏まえ本研究では,1) CYP26の異常発現を原因としてレチノイン酸が欠乏し,膵星細胞が活性化すること,2) 活性化した膵星細胞が間質の線維化や膵がんの悪性形質を促進する詳細な機構を明らかにする.
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研究成果の概要 |
膵癌手術材料を用いてCYP26A1の免疫組織化学的検討を行った。CYP26A1は間質の線維芽細胞ではなく、腺癌細胞に主に発現し、その発現は陰性から高度陽性まで様々であった。染色強度を膵癌の分化度毎に測定し、その発現態度と分化度に有意な関連が認められた。次に、CYP26A1発現欠損細胞株を樹立して解析を行った。CYP26A1の発現欠損でレチノイン酸投与により増殖能や遊走能が抑制された。これらの結果から、CYP26A1は一部の膵癌細胞で高発現し、レチノイン酸を不活化することで、悪性化に関与していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CYP26A1は今回の検討で主に癌細胞に発現しており、細胞株の検討で癌悪性化に関わることが示唆された。これは、癌細胞ではCYP26A1の発現によってレチノイン酸に対する感受性が低下しており、レチノイン酸の投与もしくはCYP26A1を標的とした治療につながる可能性のある結果である。また、癌組織中では、癌細胞に発現したCYP26A1が組織環境中のビタミンA欠乏を招き、星細胞を活性化して線維化の形成機序の一部を担っていることも考えられる。これらの新規の治療標的、戦略や病態理解は膵癌の極めて悪い予後を改善する可能性を秘めている。
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