研究課題/領域番号 |
19K16646
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松尾 祐一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (60802824)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 結核菌 / エネルギー代謝 / 低酸素適応 / 呼吸鎖 / 慢性感染 |
研究開始時の研究の概要 |
結核菌はヒトの肺に感染し肺結核を発症することで広く知られる。結核菌感染者の大部分は発症せずに、結核菌は感染巣内で生存し、宿主の免疫が低下すると再活性化し肺結核を発症する。このように、結核菌は低酸素環境である感染巣内に潜伏しているが、どのような仕組みで生存しているのかについては明らかになっていない。 本研究では、酸素を必要とするエネルギー代謝に関わる2型NADH脱水素酵素、リンゴ酸-キノン酸化還元酵素、ジヒドロオロト酸脱水素酵素に注目し、結核菌におけるこれらの酵素の生理的役割を明らかにする。そして、これらの酵素に対する薬剤を発見することで、新たな抗結核薬の開発につなげる。
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研究成果の概要 |
ジヒドロオロト酸脱水素酵素 (DHODH) は、結核菌の生存において必須の遺伝子である。本研究では、組換えタンパク質の作製に試み、組換えDHODHの発現と精製を行うことで、組換えDHODHの粗精製標品を得ることができた。そして、結核菌DHODHはキノンとジヒドロオロト酸を基質とし、フマル酸とNADHを電子受容体として利用しないことから、結核菌は2型DHODHであることが明らかとなった。さらに、ヒトDHODH阻害剤は結核菌DHODHに全く作用しないことから、反応機構が両種間で異なることが示唆された。したがって、結核菌DHODH阻害剤はヒトへの毒性が少なく、創薬標的分子として有望である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
結核菌は世界3大感染症の一つであり、世界中で多くの人々が感染している。近年、既存の抗結核薬に効果が見られない、薬剤耐性菌の流行が懸念されており、新たな治療薬の開発が望まれている。本研究で得られた成果は、結核菌のジヒドロオロト酸脱水素酵素 (DHODH) の阻害剤を探索し、原子レベルでDHODHの反応機構を明らかとすることにつながる。薬剤耐性菌は公衆衛生所の危機であり、本研究は新たな薬剤開発の基盤へとつながる。
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