研究課題
若手研究
本研究では、電子顕微鏡法を用いてフィロウイルスの組換えにより生じるウイルス粒子の構造の違いを明らかにし、ポリメラーゼ複合体の立体配置を明らかにする。さらに、蛍光標識した組換えウイルスを使い、転写・複製におけるウイルスタンパク質の相互作用をライブセルイメージングで解明する。これによりポリメラーゼ(L)と転写因子(VP30)の感染細胞内での時間的、空間的変化を観察することが可能になる。以上から、これまでわからなかった転写・複製におけるウイルスタンパク質間の相互作用を明らかにする。したがって本研究は、ウイルスのアセンブル阻害剤やポリメラーゼ阻害薬の開発基盤となる研究と言える。
2014年に西アフリカで起きたエボラウイルス(EBOV)感染症の大流行は、1万人以上の死者を出した。EBOVに対する治療法は確立していないため、その感染症対策は国際的に取り組むべき重要な課題と言える。本研究では、EBOVのポリメラーゼと転写制御因子に着目し、ウイルス粒子の形成機構を解明することを目的とした。そのためにリバースジェネティクス技術を用いて蛍光発現組換えウイルスを構築し、転写・複製におけるウイルスタンパク質の相互作用を各種顕微鏡法で解析した。そして、組換えウイルスを構築し転写制御因子VP30のオリエンテーションを明らかにすると共に、その機能の一端を解明することに成功した。
ウイルスタンパク質に対する薬剤、例えばRNAポリメラーゼ阻害薬はウイルスの転写・複製を選択的に抑制できるので、高い特異性を持つ抗ウイルス薬として知られる。しかしエボラウイルス(EBOV)のRNAポリメラーゼ複合体の構造はわかっておらず、その制御機構も不明であった。そこで本研究では、EBOVのRNAポリメラーゼ複合体を形成する転写制御因子VP30がどのようにヌクレオカプシド形成に関わるか、介在する宿主細胞因子も含めて、高解像度顕微鏡を用いて解明することを目指した。ウイルスの転写・複製機構を制御する分子機構を解明することで、アセンブル阻害剤やポリメラーゼ阻害薬の開発に貢献することが期待される。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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