研究課題/領域番号 |
19K16716
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
比嘉 綱己 九州大学, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (60826238)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | がん幹細胞 / 組織幹細胞 / がん / 静止幹細胞 / 腸管幹細胞 / 静止状態 / 細胞周期 / p57 |
研究開始時の研究の概要 |
大部分のがんは、抗がん剤で一度縮小しても往々にして再発してしまうため、がんを完全に根治する治療法の開発が切望されている。がんの中には「がん幹細胞」という非常に稀少な細胞が存在し、これらは増殖を停止した「休眠状態」に入ることで既存の抗がん剤や放射線治療から逃れ、がん再発の原因になっていると考えられている。我々は「p57陽性細胞」という細胞集団が複数のがんにおいてがん幹細胞として機能していることを発見した。本研究ではp57陽性がん幹細胞の性質を詳細に明らかにすることで、がん幹細胞をターゲットとしたがん根治治療の戦略を確立することを目指す。
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研究成果の概要 |
申請者らは、がん幹細胞のマーカーとして注目してきたp57遺伝子を指標として、さまざまながんにおいてがん幹細胞を網羅的に探索する遺伝子改変マウスを作製した。このマウスを用いて、白血病や大腸がん、胃がん等において新規のがん幹細胞分画を発見することができた。さらに、特に大腸がんにおいて、このp57陽性がん幹細胞の殺傷と既存の抗がん剤を用いた治療を組み合わせることにより、がん治療後の再発が顕著に抑制されることを立証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
既存の抗がん剤治療においてはすべてのがん細胞を殺傷することはできず、ほとんどのがんが再発の転帰をたどる。本研究では、抗がん剤に耐性のがん幹細胞分画としてp57陽性細胞を同定し、これらを遺伝学的に殺傷することによって治療後再発を大きく抑制できることを示した。これらの結果はがん幹細胞システムの生物学的理解に貢献するのみならず、今後p57陽性がん幹細胞を標的とする薬剤を探索することで、より効果的ながん治療の開発へとつながっていく可能性を示唆するものである。
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