研究課題/領域番号 |
19K16771
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水野 礼 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (30829487)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大腸癌 / 肝転移 / 生体内イメージング / 好中球 / 二光子顕微鏡 / NET / 遊走能 / FRET / ERK |
研究開始時の研究の概要 |
近年、大腸癌の肝転移において、癌の微小環境である好中球の関与が注目を集めている。従来の癌細胞と好中球の相互作用の研究は、主にin vitroで行われ、必ずしも生体内の状態を反映していなかった。本研究では、二光子顕微鏡による生体内イメージング法と、ERKのFRETバイオセンサーを発現するトランスジェニックマウスを用いて、「生理的な」環境である生体内における大腸癌肝転移過程の可視化を行う。これにより、癌細胞と好中球の相互作用におけるERK活性の時空間的情報を得ることができ、大腸癌の肝転移形成に関する新たなメカニズムの解明、新しい治療標的、マーカー探索などに貢献する可能性がある。
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研究成果の概要 |
我々は二光子顕微鏡を用いて、マウス大腸癌肝転移モデルマウスの観察を行い、癌細胞と好中球の相互作用の可能性を発見した。好中球が癌に促進的に働くメカニズムの一つであるNETに着目し、大腸癌患者の手術標本と術前血清の解析から、NET高発現群でRFSが有意に短縮されることを発見した。in vitro実験系で、NETが癌細胞に与える影響を調べ、NETで放出される好中球エラスターゼ(NE)が大腸癌細胞株の遊走能を有意に亢進させることを発見し、この過程でNEが癌細胞のERK活性を上昇させることも発見した。大腸癌肝転移モデルマウスでもNETを誘導した好中球が肝転移形成を促進することを発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、大腸癌の肝転移において、癌の微小環境である好中球が注目を集めている。本研究では癌細胞と好中球の相互作用をマウスの生体内で観察した。この結果を基に、癌のサポート役としての好中球に注目し、Neutrophil Extracellular Traps(NET)を介して、癌細胞の増殖能ではなく、遊走能を活性化していることを発見した。また、その過程においてERKが重要な役を利を果たしていることも発見した。これらの結果は、大腸癌肝転移の新たなメカニズムの解明、新規治療標的、マーカー探索に貢献する可能性がある。
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