研究課題/領域番号 |
19K16788
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
佐々木 崇晴 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員研究員 (60779718)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 食物抗原 / 消化器腫瘍 / パイエル板 / 腸管免疫 / T細胞 / 小腸 / 腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
癌の病態にはT細胞という免疫細胞が影響を与える。哺乳類の腸は常に食物に含まれる抗原(食餌抗原)に晒されており、食餌抗原が腸におけるT細胞を誘導することが近年報告された(Kim et al., Science 2016)。本研究では、1. 食餌抗原が腸における癌の制御因子となりうるのか?という点について発癌モデルマウスを用いて検証する。さらに、2. 食餌抗原によるT細胞の誘導機構について、パイエル板の腸管上皮細胞や免疫細胞との関連において解析を行う。本研究は、食物に含まれる抗原に着目した新しい癌治療法開発への糸口になるものと期待される。
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研究成果の概要 |
腸管は様々な食物成分や腸内細菌に曝されており、これらが腸管の免疫系制御に働く。近年、食物に含まれる10kDa以上の分子(食物抗原)が小腸の免疫細胞の誘導に働くことが報告された。本研究では食物抗原が免疫系の誘導を介して消化器腫瘍の制御に働くのではないかと考えて研究を行った。消化器腫瘍を自然発症するAPCminマウスを用いて実験を行った結果、食物抗原が小腸腫瘍の発生を抑制することが分かった。さらに、小腸の免疫誘導組織であるパイエル板が腫瘍の発生抑制に働くと共に、食物抗原による免疫系の誘導に関与することを明らかにした。以上から、食物抗原がパイエル板を介して小腸腫瘍の発生を抑えることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
小腸腫瘍は発生数が少ない疾患であるが、発見が遅れることが多く予防策を考えることも難しいとされている。本研究成果は食物抗原が小腸腫瘍の形成を抑制することを示し、そこにパイエル板が関与することを示唆した初めての研究成果である。したがって、小腸腫瘍の予防策を考える上で新しい方法開発へとつながる可能性を秘めた研究となったと考えられる。今後は免疫系との関係性においてより詳細に食物抗原が腫瘍を抑制するメカニズムについて探ることにより食物抗原の機能がより詳細に解明され、その重要性がより明確に分かってくることが期待される。
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