研究課題/領域番号 |
19K16843
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
渡邉 諭美 近畿大学, 大学病院, 助教 (90742172)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | パジェット病 / Estrogen receptor / Progesterone receptor / HER2 / 網羅的遺伝子発現解析 / 乳房外パジェット病 |
研究開始時の研究の概要 |
根治不能EMPDは化学療法の適応だがそのエビデンスは存在しない。一方同じ汗腺系由来の悪性腫瘍の乳房パジェット病は一般的な乳癌と同様に扱われ、ホルモン受容体とHER2タンパクの有無にて治療方針が決定する。近年EMPDもHER2の発現が報告されており、我々も抗HER2療法が奏功した症例報告を行っている。これらからEMPDの生物学的特性は乳癌に近いのではとの推測が生まれる。そのためEMPDの網羅的遺伝子解析を行い乳癌遺伝子シグネチャーの相関を検討し、サブタイプ分類する事を本研究の目的としている。本研究によりほとんど明かされていない疾患の特性が明らかになりEMPDの研究が革新的に進むことが期待される。
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研究成果の概要 |
転移再発乳房外パジェット病(EMPD)の症例20例を解析した。腫瘍の蛋白発現や遺伝子発現について評価し,その結果と患者が受けていた治療内容およびその効果や生存期間との関連を調べた。EMPDでは乳癌と同様に一部で治療効果予測因子として知られているHER2遺伝子発現が認められ,その中では抗HER2療法を選択されていた症例で明らかに長い生存期間が得られていた。一方で遺伝子発現解析では乳癌と異なる遺伝子経路の発現亢進も複数認められ,新たな治療ターゲットとなりうる可能性が示唆された。CD274(PD-L1)の発現亢進も認めており,免疫チェックポイント阻害薬による治療開発の可能性も示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
根治切除不能悪性腫瘍は一般的に薬物療法による延命を目的とした治療の対象になるが,希少がんであるEMPDに標準的な治療は存在せず,薬物療法可能な全身状態であっても対症的な支持療法のみ施行されることも多い。今回HER2陽性EMPDでは抗HER2療法を受けた群が支持療法のみ受けた群と比較して明らかな生存期間延長を認めていることが複数例の集積データとして示された。HER2陽性EMPDでは抗HER2療法が有効であることを強く示唆し,新たな標準治療確立につながる重要なデータである。また今回新たに複数の遺伝子経路発現亢進も見つかっており今後新たな治療のターゲットとしてさらなる研究による治療開発が期待される。
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