研究課題/領域番号 |
19K16862
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
早稲田 真澄 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (60794295)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 腫瘍溶解性ウイルス / 麻疹ウイルス / Nectin-4 / 膵臓がん / がん免疫療法 / ウイルス感染性 / 腫瘍内不均一性 / iPS細胞由来抗原特異的T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の死因第1位は癌であり、その上位5位は全て固形腫瘍が占めている。そのため、これら固形腫瘍を根絶可能な新規治療法の開発が求められている。 がん抗原特異的なT細胞による免疫療法は、その有力候補と考えられているものの、「免疫抑制的な腫瘍微小環境」と「がん抗原の発現の不均一性」という問題を完全には克服できていない。前者については幾つかのアプローチが効果を上げているが、後者に関しては充分に検討されていない。 そこで本研究では、T細胞の標的となる抗原をがん細胞に一様に発現させるため、がん細胞の腫瘍溶解性ウイルスに対する耐性機構を解明し、多様ながん細胞に持続的に感染可能な改変型ウイルスの作製を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、膵臓がんにおける麻疹ウイルス感染制御機構を解明するため、ヒト膵臓がん細胞株9株を用いて実験を開始した。 麻疹ウイルスはがん細胞に感染して傷害性を示す腫瘍溶解性ウイルスとしての機能を有しており、Nectin-4と呼ばれる膜タンパク質を介して細胞に感染することが知られている。当該受容体が麻疹ウイルス感染に与える影響を少なくする目的で、当該膜タンパク質を過剰発現する膵臓がん細胞株を樹立した。 また、野生型の麻疹ウイルスは免疫細胞にも感染するが、本研究は将来的に免疫療法との併用を予定しているため、Nectin-4特異的な麻疹ウイルス増幅に用いるNectin-4発現Vero細胞も樹立した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、麻疹ウイルス感染に必要な細胞受容体であるNectin-4を過剰発現するヒト膵臓がん細胞株を複数樹立し、免疫細胞への感染性を消失した麻疹ウイルスの増幅に用いるNectin-4発現Vero細胞も作製した。 樹立した細胞株を用いて感染実験を行い、感染動態の異なる細胞間で遺伝子発現を比較することにより、麻疹ウイルス感染制御機構の探索が可能になる。 該当する遺伝子の発現や機能を制御する麻疹ウイルスを作製することにより、がん細胞に長期間感染可能な麻疹ウイルスを開発できれば、固形腫瘍において問題となる「免疫抑制的ながん微小環境」を改善するツールとして応用可能になるのではないかと考えている。
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