研究課題/領域番号 |
19K16871
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
栗原 亮介 香川大学, 医学部, 助教 (20713233)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 核酸 / 会合体 / 両親媒性核酸 / 癌 / セラノスティックス / 光熱療法 / 光線力学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、光照射によって蛍光し且つ熱および活性酸素を発生させる化合物と、細胞を熱や活性酸素から守る機能を弱めることができる核酸からなる両親媒性(水に溶ける部分と油に溶ける部分の両方を持つ)核酸を作製し、癌の診断と治療の両方を可能にする新規材料の開発を目的としている。両親媒性核酸を取り込んだ癌細胞に光照射すると、細胞内からの蛍光により場所を特定することができ、また同時に熱と活性酸素が発生するため細胞を殺すことができる。さらに、両親媒性核酸の核酸の部分が細胞を熱や活性酸素から守る機能を弱めるため、より効果的に癌細胞を殺すことができると期待される。
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研究実績の概要 |
従来のがん治療法は患者への負担が大きいため、負担を軽減すべく新たな治療法が必要である。本研究では、疎水性(油に溶けやすい)であるインドシアニングリーン等の蛍光色素と、親水性(水に溶けやすい)であるsiRNA等の核酸を結合させた両親媒性(水と油の両方に溶ける)核酸で形成させた核酸会合体を用いて、腫瘍部のイメージングと患者への負担が少ない光線力学療法(光感受性物質に光を照射し活性酸素種を発生させることで腫瘍にダメージを与える治療法)・光熱療法(物質に光を照射し熱を発生させることで腫瘍にダメージを与える治療法)を効率的に行う新規材料の作製を試みる。インドシアニングリーンを含むいくつかの蛍光色素は、近赤外光照射により活性酸素種と熱を発生する優れた光感受性物質である。具体的には、インドシアニングリーン誘導体等の蛍光色素と細胞の熱耐性を低下させる配列を持つsiRNAからなる両親媒性核酸を作製し、会合体を形成させることで両親媒性核酸の体内での安定性および腫瘍への集積能を向上させる。一般的に疎水性蛍光色素は血液に溶けづらくまた化学修飾されていないsiRNA等の核酸もそのままでは血中での安定性が乏しく細胞内へ導入させることが難しい。しかし、両親媒性核酸として会合体を形成することで、これらの問題点を改善することができると期待される。新規インドシアニングリーン誘導体の合成を行った。核酸と蛍光色素を結合させた両親媒性核酸を作製し、その両親媒性核酸が会合体を形成し細胞内へ入ることを確認した。また蛍光色素とsiRNAからなる両親媒性核酸が会合体を形成したのち細胞内へ入り、siRNAが機能することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ渦による影響により制限が生じた。また研究環境の変更にともない研究課題を実施するうえで必要な器具や装置を準備する必要が生じた。そのため予定していたよりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
様々なインドシアニングリーン誘導体とsiRNA等からなる両親媒性核酸を作製し、光照射による活性酸素種や熱の発生などの物性について検討する。またin vitro実験においても活性酸素種や熱の発生による殺細胞効果等を評価する予定である。可能であれば担癌マウスを用いた腫瘍縮小効果の評価を行う予定である。
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