研究課題/領域番号 |
19K16875
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
大江 知里 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40469242)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 腎細胞癌 / 融合遺伝子 / 次世代シーケンサー / 治療薬シーズ |
研究開始時の研究の概要 |
腎細胞癌の中には既存の治療薬の効果に乏しい予後不良な腫瘍群が存在し、有効な治療薬が求められている。一方、肺癌では細胞の癌化を直接引き起こす「ドライバー遺伝子」の異常を伴う腫瘍が同定されており、その特異的な阻害薬により高い治療効果が得られている。本研究では、NanoStrings社のnCounterシステムを用いて複数のドライバー融合遺伝子のスクリーニングを行い、同定された遺伝子異常を示す腫瘍の臨床病理学的特徴を明らかにする。既に他臓器にて治療法が確立している標的遺伝子の探索により、早期実用化が期待できる。
|
研究実績の概要 |
本研究で検出された融合遺伝子を伴う腎癌は2例のTFE3融合遺伝子と1例のALK融合遺伝子のみであり、他の癌腫で治療薬が確立されているドライバー融合遺伝子の異常を伴う腎癌は発見されなかった。そこで、2021年度は今回の研究で構築した腎癌の臨床病理学的データベースを用いて、淡明細胞型腎細胞癌の予後やバイオマーカーに関する論文報告を行った。2022年度はThe Cancer Genome Atlas (TCGA)で公開されているデジタルスライドを用いて、我々の明らかにした予後や治療選択につながる病理学的指標を人工知能(AI)に機械学習させ、AIによる淡明型または好酸性型の判定は病理学的予後因子や治療選択に関わる遺伝子発現と相関することを論文報告した。 今回、非淡明細胞型腎細胞癌において、ALK以外に新規に治療ターゲットとなりうる融合遺伝子は認めなかったため、既知の治療薬である免疫チェックポイント阻害薬の奏効性につながる病理学的所見について解析を行った。2021年度に淡明細胞型腎細胞癌におけるヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で施行した免疫フェノタイプはCD8陽性T細胞やPD-L1などの蛋白発現と免疫系の遺伝子発現と相関することを明らかにしたが、非淡明細胞型腎細胞癌においても相関があるかどうかは不明である。乳頭状腎細胞癌や嫌色素性腎細胞癌などの代表的な非淡明細胞型腎細胞癌においても、HE染色標本による免疫フェノタイプが蛋白発現や遺伝子異常と相関するかどうか、当院の症例とTCGAの症例を用いて検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
講座のスタッフの退職に伴い、診療業務にエフォートを割く必要があったため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で報告された未知のALK融合遺伝子の症例につき、論文作成を行っていく。また、作成した腎癌の病理学的データベースから淡明細胞型腎細胞癌や非淡明細胞型腎細胞癌における治療薬の奏効性に関わる病理学的バイオマーカーに関する検討について、論文作成を行っていく。
|