研究課題/領域番号 |
19K16901
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2020-2022) 国立研究開発法人理化学研究所 (2019) |
研究代表者 |
梨本 沙織 (矢野沙織 / 矢野 沙織) 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (00779548)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 家族の絆 / 霊長類 / マーモセット / 愛着行動 / 養育行動 / 親子関係 / ペアボンド / 社会行動 / c-Fos |
研究開始時の研究の概要 |
夫婦の絆(ペアボンド)は、家族の絆を形成する上で重要な役割を果たすが、その脳内基盤には依然不明な点が多く、特に霊長類ではペアボンド制御をつかさどる脳部位がほとんど明らかにされていない。 そこで本研究では一夫一妻制をとる小型霊長類顧問マーモセットを対象として、c-Fos発現解析を通じてペアボンド形成・維持と関連して活性の変化する脳部位を探索する。この結果を受けてペアボンド制御をつかさどる脳部位の候補を選出し、当該脳部位の神経活動を高頻度電気刺激や薬理遺伝学的手法(DREADD法)により抑制・活性化した上で、ペア個体に対する各種社会行動の変化を評価することで、霊長類のペアボンドに寄与する脳部位の特定を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究は霊長類マーモセットを用い家族の絆を形成する脳内基盤の解明を目的とした。計画段階では夫婦の絆を対象としていたが、愛着形成の脳内機構の解明が絆形成の機序解明のために重要と判断し、愛着研究のモデル動物としての有用性を検討した。 その結果、マーモセットの子は家族個体の養育特性に応じて愛着行動を柔軟に変化させることが明らかになった。一方、人工哺育で育てられた子は、愛着行動の調節能力を欠き、ヒトの無秩序・混乱型愛着に似た矛盾した行動を示した。さらに、幼少期に受けた養育は成長後の行動に長期的な影響を及ぼした。以上、マーモセットの養育・愛着行動はヒトと類似し、有用なモデル動物であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幼少期の愛着形成は、情緒や社会性の発達の基盤となり、成長後の心の健康や対人関係にも重要な役割を果たす。幼少期に十分な愛着形成が出来ず、周囲の人々との人間関係に困難を生じている状態を「愛着障害」と呼び、近年問題視されている。しかし、愛着形成や愛着障害の脳内機構は未だ明らかにされていない。 本研究により、マーモセットの親子関係・愛着行動にヒトと類似した多くの特徴が見出された。今後、マーモセットをモデル動物として愛着形成の脳内機構を研究することで、ヒトの愛着形成の機序解明や、愛着障害の理解や対策につなげられると期待される。
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