研究課題/領域番号 |
19K16938
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
山本 将大 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 特任研究員 (50825693)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 生体膜リン脂質 / リゾリン脂質アシル転移酵素 / 脂質メディエーター / 疼痛 / 後根神経節 / 感覚情報伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
神経障害性疼痛は,神経系の損傷や機能異常により発症し,触刺激でさえ激烈な痛みとして感じる疼痛症状を呈するが,現在,十分な疼痛管理ができていない。一方,細胞構成に必須であるリン脂質は多様で1000分子種を超え,各細胞機能に応じて組成は異なる。その多様性を生む生体分子としてリゾリン脂質アシル転移酵素(LPLATs) が近年複数同定されている。 本研究では,知覚情報伝達を担う神経系において神経損傷時に発現変動するLPLATsを探索し,生体膜リン脂質組成への影響を検討する。また,特定のリン脂質量を変動できるLPLAT遺伝子欠損動物を用い,神経障害性疼痛病態時における生体膜リン脂質の役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
神経障害性疼痛は,触刺激でさえ激烈な痛みとして感じてしまう病的な慢性疼痛疾患であるが,その発症維持機構は未だ不明な点が多い。一方,細胞膜を構成するリン脂質は多様で1000分子種を超えるが,多様性を生む生体分子リゾリン脂質アシル転移酵素(LPLATs)が近年複数同定されている。本研究では,神経障害性疼痛病態時における末梢および中枢神経系組織の膜リン脂質組成と脂質メディエーター量の変化,さらに,複数系統のLPLAT遺伝子欠損マウスにおいて疼痛症状が軽減する可能性を見出した。今回の成果は,有効な治療薬の存在しない神経障害性疼痛に対してLPLATsが新しい治療標的となる可能性を示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体膜リン脂質の多様性の生理・病態学的な意義についてはほとんどブラックボックスである。本研究では,神経障害性疼痛病態時における膜リン脂質組成の変化や,リン脂質を前駆体とする脂質メディエーターの産生増加が疼痛症状の発症維持に寄与することを明らかにした。膜リン脂質組成の変化が疼痛に繋がる詳細なメカニズムについてはさらなる検討が必要だが,リン脂質多様性を制御するLPLAT欠損マウスにて疼痛軽減の表現型が得られたことは,今後のリン脂質多様性の生物学において学術的意義が認められる。
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