研究課題/領域番号 |
19K17035
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
糸数 隆秀 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (60750015)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 神経可塑性 / 脳損傷 / 脳外傷 / 脳梗塞 |
研究開始時の研究の概要 |
運動皮質が広範な損傷を受けると随意運動を支配する皮質脊髄路が障害され重篤な運動麻痺が生じる。この麻痺からの回復に健側運動皮質に誘導される可塑的変化、及び健側皮質脊髄路が脊髄レベルで形成する新たな神経回路が重要であることがわかってきた。さらに最近、脳幹から運動皮質へのドパミン線維の直接投射が運動学習に重要な役割を果たしていることが明らかとなり、注目されている。本研究課題では、運動皮質へのドパミンシグナルが、運動野損傷後に誘導される神経回路の可塑的変化に影響している可能性につき検証し、片麻痺からの回復を目指した新たな治療法の開発に繋がるメカニズムを明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
片側運動野損傷マウスを確立し、安定的に損傷・麻痺が誘導されることを確認した。機能障害・回復の指標として麻痺側の巧緻運動を評価できる餌取り試験を採用し、評価法を確立した。本モデルに対し、薬理学的に健側運動野へのTH陽性線維の投射を選択的に脱落させたところ、巧緻運動障害の回復が障害されることを見出した。 さらに解剖学的に皮質脊髄路の可塑性が影響を受けているかを検証するため、脊髄レベルでみられる可塑的変化である軸索側枝形成を可視化し、軸索側枝形成も抑制されていることを示した。これらのことから、運動皮質に投射するTH陽性線維が、麻痺後の機能回復に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
片側運動野の損傷により反対側の前後肢は麻痺をきたすが、この麻痺からの回復過程で大規模な運動関連ネットワークの再編が起こると考えられている。しかし、その実態や可塑性を調節する因子については殆ど明らかになっていない。今回の検討で、これまであまり検討されてこなかった損傷対側の運動皮質内でのニューロモジュレーターの重要性を明らかにすることが出来た。これらの知見を発展させることで、回復を促進させるような新規治療法開発に繋がる知見を得ることが期待される。
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