研究課題/領域番号 |
19K17124
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
小林 桃子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, リサーチフェロー (30837274)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 統合失調症 / 海馬 / 認知機能 / 疾患感受性 / WD repeat domain 3 / 性差 / 関連候補遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症における性差は、臨床所見および分子遺伝学的研究において複数の性別特異的な関連が報告されているが、性差による症状の出現メカニズムは明らかになっていない。 先行研究の分子遺伝学的研究において、女性の統合失調症との関連が認められたWDR3遺伝子は、中枢神経系における機能が不明であることから、本研究では、WDR3の中枢神経系での役割、発現動態、およびその異常による神経機能への影響を性別因子に着目をして検討する。 培養細胞およびWDR3遺伝子ノックアウトマウス、統合失調症の薬理モデルを用いて、WDR3の中枢神経系における機能の解析を行い、統合失調症の女性に特異的な分子病態の解明を行う研究である。
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研究成果の概要 |
WD repeat domain 3 (WDR3) 遺伝子は、申請者らの分子遺伝学的研究において、女性の統合失調症との関連が認められた新規の統合失調症関連遺伝子である。しかし、性差を含む統合失調症メカニズムとの関連性だけでなく、中枢神経系における役割自体も不明であった。 そこで本研究では、マウス脳におけるWDR3発現とWDR3ノックアウトによる中枢神経系への影響を検討した。その結果、WDR3は海馬をはじめ脳に広く発現していることが確認され、WDR3ヘテロノックアウトマウスの海馬においてNMDA受容体NR2AおよびNR2Bサブユニットの発現量が減少していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
統合失調症における認知機能障害は、幻覚や妄想などの陽性症状、感情鈍麻や意欲減退などの陰性症状に並び、疾患の主要な症状の一つであり、統合失調症患者の健康的な生活を脅かす大きな原因となっている。また、精神病症状の出現に先立って認められるといった報告や、統合失調症患者の第一度親族では、発症をしていなくても認知機能障害が認められる傾向にあるなど、遺伝的な中間表現型のひとつであると考えられている。 本研究では、WDR3が海馬依存的な認知機能へ影響している可能性が示唆された。これらの結果は、認知機能障害を念頭に置いた統合失調症研究を進める上で重要な手がかりになるものと考えられる。
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