研究課題/領域番号 |
19K17125
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
小川 眞太朗 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 室長 (00756984)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | プラズマローゲン / エタノールアミン / 精神疾患 / バイオマーカー / 18F-FDG PET / 脳脊髄液 / ラット / 前臨床研究 / FDG-PET / 大うつ病性障害 |
研究開始時の研究の概要 |
この課題では、以前私たちが世界で初めて報告した、うつ病患者さんの脳脊髄液中でのエタノールアミンという物質の低下についてさらに研究を進めるため、脳内に存在していてエタノールアミンが結びつく分子である「プラズマローゲン」という物質と精神疾患との関係について、動物で調べることを目的としています。そのために、1) プラズマローゲンを添加した飼料を動物に与え、情動を反映する行動や、体の中のエタノールアミンやプラズマローゲンの変化を見ます。2) 向精神薬を動物に投与して、体内のプラズマローゲンの変化や行動との関連を見ます。3) プラズマローゲンを投与した動物で脳画像を調べ、脳内の活動の変化を観察します。
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研究成果の概要 |
本課題はリン脂質の一種であるプラズマローゲンに着目し、精神疾患モデルラットを用いて検討を行なった前臨床研究である。その結果、ラットへのプラズマローゲンの投与は、脳脊髄液中のエタノールアミン濃度の上昇や、赤血球膜や血漿でのプラズマローゲン濃度の上昇、疾患モデルで低下した赤血球膜プラズマローゲン値の上昇を導いた。ラット前頭前野のエタノールアミン型プラズマローゲン量は、感覚運動ゲーティング機能や快楽行動と関連し、赤血球膜・血漿・脳扁桃体のエタノールアミン型プラズマローゲンも行動と関連した。PET撮像では、疾患モデルで脳の腹側被蓋野が賦活化し、プラズマローゲンの摂取がその変化を抑制する結果が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の検討では安定した動物モデルの作出が課題となり、将来的に改めて検討を継続する必要性が示された。その一方、脳脊髄液中のエタノールアミンと生体内でのプラズマローゲンの動態との関連が示唆されたことは、精神疾患の機序研究を進めるための大きな礎となりうる。また、経口で摂取したプラズマローゲンが生体内の組成に対して影響を及ぼすことから、栄養補助的な応用可能性も考えられる。さらに、生体中のプラズマローゲンの値が精神疾患に関連する指標のバイオマーカーとして有望である可能性や、プラズマローゲンの摂取がうつ病に関連する脳の変化に対して保護的に働くことから、精神疾患の治療法として有望である可能性も示された。
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