研究課題/領域番号 |
19K17231
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 翼 京都大学, 複合原子力科学研究所, 特定准教授 (30804348)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / BNCT / ホウ素中性子捕捉療法 / 免疫療法 / 放射線治療 / 腫瘍免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
ホウ素原子(10B)は生体内元素の数千倍の確率で中性子と反応し、大きなエネルギーを極めて狭い空間へ放出する核反応(ホウ素中性子捕獲反応)を起こす。ホウ素原子を薬剤の形で体内へ注射し、腫瘍細胞に集積させ、そこに中性子を照射することにより病巣内部に限局してホウ素中性子捕獲反応を起こすことが可能である (ホウ素中性子捕捉療法)。 従来のX線照射には免疫システムを賦活し、腫瘍に対する免疫効果を高める効果があることが近年示された。 この研究によりこれまで明らかとなっていないホウ素中性子捕獲反応が免疫システムへ及ぼす影響を調べ、将来的にホウ素中性子捕捉療法を免疫療法と併用する際の学術的な基盤を確立したい。
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研究成果の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とはホウ素原子が中性子を取り込むとα線とリチウム原子核に核分裂を起こすことを利用した癌治療である本研究の目的はBNCT後の抗腫瘍免疫応答を調べることである。悪性黒色腫細胞B16を用いたマウス皮下腫瘍モデルを用いてBNCTとCD8+T細胞の除去抗体を同時投与し、明らかな抗腫瘍効果の減退を認め、BNCTにおいてもX線・γ線と同様に抗腫瘍免疫応答が抗腫瘍効果に寄与していることが明らかとなった。BNCTに対してaPD1を追加した抗腫瘍効果を検討したところBNCT+aPD1併用群にてBNCT単独と比較し良好な抗腫瘍効果の向上を腫瘍曲線の変化・生存率ともに認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
実験動物を用いたモデルにおいて、BNCTにおいてもX線・γ線などの通常放射線治療として用いられる線種と同様に、抗腫瘍効果に対する宿主の免疫応答も重要であることが判明した。そこで、同モデルを用いてBNCTと抗PD-1抗体の同時併用による癌治療効果を検討し、BNCTと抗PD-1抗体の同時併用による上乗せ効果を認めた。これは既に一部癌腫に対して保険適応にもなっているBNCTの後治療として抗PD-1抗体が有用である可能性を示唆するものであり、既存の治療とのシナジーを求めて臨床でも併用する根拠の1つとなると考える。
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