研究課題/領域番号 |
19K17460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
坂口 弘美 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (00772287)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 長鎖非コードRNA / NEAT1 / 肝細胞がん / マイトファジー / Parkin / 長鎖非コードRNA NEAT1 / オートファジー / 放射線抵抗性 / 肝癌幹細胞 / p21 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、hepCSCにおいてNEAT1によるp21発現抑制が持つ意義を解明しさらにNEAT1特異的なhepCSCの分泌マーカー分子の同定を行う。具体的には以下の項目について検討する。①NEAT1によるp53非依存的p21発現抑制メカニズム、②NEAT1によるp21発現抑制を介したhepCSCの細胞周期および細胞老化の制御、③DNA損傷によるhepCSCのNEAT1、p21発現変化と放射線感受性の検討、④NEAT1高発現hepCSC特異的なエキソソームRNAの同定。以上からNEAT1による癌幹細胞制御メカニズムを解明しこれに基づいた肝癌細胞の放射線治療法とその診断法開発を行う。
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研究実績の概要 |
NEAT1を過剰発現する肝細胞がん細胞株では、コントロール細胞と比べてオートファジー誘導因子であるGABARAPとともに、ミトコンドリア特異的抗酸化酵素であるSOD2が発現上昇していた。このことと一致して放射線を照射によってミトコンドリアから発生するスーパーオキシドアニオンが、NEAT1過剰発現細胞では減少していた。そこでマイトファジーを検出する蛍光試薬を使って検討を行った結果、放射線照射はマイトファジーを抑制するが、NEAT1過剰発現によりこの抑制が解消されていることが示唆された。マイトファジーを誘導するメカニズムとしてPINK1/Parkin経路が知られている。この経路では、損傷ミトコンドリアに結合したPINK1がParkinを呼び込み、Parkinによってミトコンドリアタンパク質がユビキチン化されることでマイトファジーが誘導される。そこで放射線照射した肝細胞癌細胞株より細胞画分とミトコンドリア画分を調製し、それぞれのPINK1とParkinの発現量を検討した。その結果、NEAT1の過剰発現によってParkin発現量が上昇しており、これに伴ってミトコンドリアに存在するParkinの量も上昇していることが明らかになった。またParkin発現量は、SOD2のノックダウンにより減少し、GABARAPのノックダウンにより上昇した。このことから、NEAT1はSOD2を介してParkin発現を誘導し、GABARAPを介したマイトファジーによりParkinの分解を促進していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NEAT1によるマイトファジー誘導メカニズムを明らかにしたため
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究代表者の研究から、NEAT1はマイトファジーを誘導して放射線抵抗性を肝細胞癌に付与していることが明らかになった。また研究代表者はNEAT1が肝細胞癌の癌幹細胞性誘導に寄与していることを明らかにしている。癌幹細胞は、治療抵抗性など悪性形質の誘導に関与することが示唆されている。そこでNEAT1が肝細胞癌の放射線抵抗性だけでなく、薬剤抵抗性にも関与しているのか検討を行う。さらにSOD2は癌細胞の薬剤感受性に関与していることが報告されていることから、NEAT1によるSOD2を介した薬剤抵抗性誘導経路の存在について検討する予定である。
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