研究課題/領域番号 |
19K17500
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 健 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (50806106)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 膵臓癌 / 上皮間葉転換 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は増加傾向にある5年生存率が10%に満たない予後不良な疾患である.局所浸潤や転移を起こしやすく,予後不良の原因になっている.これらの性質をもたらす重要な機序として,細胞接着が弱まり,移動能力が高まる上皮間葉転換(EMT)という現象が膵癌細胞では起こりやすいことが挙げられている.EMTを起こした癌細胞は,治療抵抗性が高くなる可能性も示唆されており,細胞接着分子の一つである,E-cadherinはこれらの現象に深く関わっているとされる.動物実験や薬剤によるスクリーニングを行い,EMTやE-cadherinが膵癌において重要な現象・分子であることを示し,新たな治療開発へと繋げることを目的とする.
|
研究成果の概要 |
膵癌は5年生存率が10%に満たない予後不良な疾患である.膵癌細胞では上皮間葉転換(EMT)が起こりやすいとされ,局所浸潤・転移を起こしやすい一因とされている.その発現低下がEMTを介して腫瘍進展に関与する分子としてE-cadherin(CDH1)に着目し,細胞レベル・動物モデルでの検討を行った.膵癌細胞からCDH1を失わせることにより,膵癌細胞の浸潤能・移動能が増加することが示唆され,膵癌の悪性度が上がる要因となることが示された.CDH1を失うことで,発現亢進が示されたヒストン脱アセチル化酵素であるHDAC1を阻害することでCDH1を失った膵癌細胞の増殖が抑制されることが示された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の検討で,接着分子の1つであるE-cadherinが,膵癌細胞において浸潤能や移動能を亢進させ,腫瘍進展に促進的に働くことが示唆された.E-cadherinの発現が低下した膵癌においては,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の発現が亢進していることが示され,その一つであるHDAC1を阻害することで膵癌細胞の増殖が抑制された.このことは,E-cadherinの発現低下を伴う膵癌において,HDAC阻害剤が治療効果を認める可能性があることを示唆している.
|