研究課題
若手研究
課題1として、心臓リンパ管の生理学的状況下および心不全発症過程での役割の解明に取り組む。まずは、生理学的条件下の心臓におけるリンパ管の機能解析を行ったのちに、心筋炎後心不全発症過程において誘導される内因性リンパ管新生の観察と、その機能解析を機能阻害実験などにより検討する。最後に、心不全に対する治療的リンパ管新生の開発を予定する。課題2として、虚血耐性現象における新規心保護機序としての心臓リンパ管の役割の解明に取り組む。まずは虚血耐性現象により誘導されるリンパ管再構築の検討および、虚血耐性現象によるリンパ管再構築機序の検討をする。さらに、リンパ管新生調節によるIPC調節効果を検証する。
我々は、新たに確立したマウス心臓リンパ管切除モデルにおいて、慢性的な心臓リンパ管の機能低下が形態変化に続いて心機能に与える影響を検討した。野生型マウスにおける心臓リンパ管切除は、炎症細胞の蓄積、線維性変化、心肥大を誘発し拡張心機能障害が認められた。さらに、高脂肪食負荷はこれらの反応を悪化させた。一方、治療的リンパ管新生は、リンパ管機能不全後の炎症反応、線維蓄積、心肥大を改善し、結果として拡張機能不全の保護効果をもたらした。本研究において今回得られたデータは、心臓リンパ管が、生理的および病的な環境において、心臓のホメオスターシスと心機能の維持に重要な役割を担っていることを示唆するものである。
心筋梗塞をはじめとした、心血管病は世界の死因第1位を占め、さらなる病態の解明とその対策は急務である。リンパ管は血管と同様に全身の臓器に存在する脈管であり、その主要な機能としては、蛋白質や免疫細胞等を含む“リンパ液”を、細胞間の組織間質からドレナージしリンパ節などを経由しながら静脈循環に戻す回路の役割を担っている。従って、リンパ管を含む“リンパ管系システム”は、組織間隙のホメオスターシスの維持や、免疫の監視機構としての重要な働きを行う中心的な器官の一つである。今回、心臓リンパ管を標的にすることにより、心臓病発症や進展を予防する可能性が示唆された。
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