研究課題
若手研究
脳梗塞の中でも最も多い心原性脳塞栓症は、他の脳血管の動脈硬化に由来する脳梗塞よりも重篤であることが知られており、脳梗塞の発症を予測し、予防することが重要な課題である。心原性脳塞栓症の発症機序は、従来は心房細動のリズム自体による心内血栓形成が原因と考えられてきたが、申請者らは心房細動のリズムそのものよりも心臓MRIで評価した左心房の機能不全が重要であることを報告した。本研究では、近年開発された心臓MRI 4D flow動画解析にて心原性脳塞栓症に特徴的な左心房内血流パターンや左心耳血流の洗い流し率を解析することにより脳梗塞発症予測の精度を向上させること、発症機序に基づいた脳梗塞予防を提唱することを目的とする。
発作性心房細動の既往のある患者20名(平均年齢74才)を対象に、心臓MRIを撮像し、各心房機能および心室機能、4Dflow動画での解析を行った。心原性陳旧性脳梗塞OCIの既往の有無により、CIあり群10名、CIなし群10名に分けて解析を行った。CIあり群はなし群と比較し、患者背景ではCHADS-VAScスコアが高く、経食道エコーでの左心耳血流速度が遅かった。MRIでの左房および左心耳の血流速度解析では、CIあり群ではなし群と比較し共に低かった。発作性心房細動および脳梗塞の既往のある患者において、経食道エコーおよび心臓MRI 4D flow解析により左心房と左心耳血流の低下を認めた。
左心房および左心耳の血流低下が発作性心房細動および脳梗塞に関連していることを明確にすることで、これらの疾患の病態生理の理解につながると考えられた。また、血流低下が脳梗塞のリスク要因であることを証明できれば、心臓MRI 4D flow解析を用いて、発作性心房細動患者の脳梗塞リスクをより正確に評価できる可能性がある。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
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