研究課題/領域番号 |
19K17592
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥村 貴裕 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60635598)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | マイオカイン / 心筋疾患 / オートタキシン |
研究開始時の研究の概要 |
心筋疾患では、心筋細胞肥大や間質の線維化といった心臓の組織学的および構造的変化(リモデリング)を伴う。近年、骨格筋がFSTL-1やマイオネクチン、FGF-21などの生理活性物質(マイオカイン)を産生することが報告された。動物モデルを用いた最近の研究により、マイオカインが細胞死抑制作用や抗炎症作用を介して心臓保護的に働くことが明らかとなった。申請者は、血中マイオカイン濃度が心筋疾患における心負荷・心不全重症度を反映し、リモデリングに関与するとの仮説を立てた。このため本研究では、ヒト検体でのマイオカイン血中濃度を測定し、血行動態や心不全重症度、心リモデリング、予後との関連を検討する。
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研究成果の概要 |
研究代表者らは,拡張型心筋症32例におけるFollistatin-like 1(FSTL1)血中濃度,特に経心臓勾配と血行動態および予後との関連を検討した。冠静脈洞と大動脈根部の血清FSTL1値の差で定義された経心臓勾配(FSTL1 CS-Ao)は,肺動脈楔入圧と有意に相関した。生存解析では,心臓イベント発生率は,低FSTL1 CS-Ao群で有意に高率であった。Cox回帰分析では,FSTL1 CS-Aoは心臓イベントの独立した予測因子であった。FSTL1の経心臓勾配の低下は,DCMの新しい予後予測因子となる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究代表者らは,拡張型心筋症患者におけるFSTL1血中濃度の経心臓勾配が肺動脈楔入圧と有意に相関することを示した。また,FSTL1の経心臓勾配の低下は,不良な予後と関連し,心臓イベントの独立した予測因子であることを明らかにした。この結果は,FSTL1経心臓勾配が拡張型心筋症の不良な血行動態を反映し,予後改善のための新たな治療ターゲットとなりうる可能性が示唆された。この結果は,DCMの発症や進展予防のメカニズム解明のヒントとなり,新たな診断法や治療の開発といった臨床応用に展開するための基盤となりうる可能性がある。
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