研究課題
若手研究
大動脈解離は突然死の原因として最重要疾患である。大動脈解離の機序は、大動脈中膜の変性により、剪断応力に対し大動脈が脆弱な状態となるため、一過性の血圧上昇により大動脈中膜の解離が生じ発症すると考えられている。しかし、大動脈解離の前段階である中膜変性の機序は、未だ十分に解明されていない。すなわち、大動脈解離の分子病態機構が未解明であるため、予防法は確立しておらず、大動脈解離を発症して初めて治療が行われているのが現状である。この状況を打開するには、大動脈解離の分子病態機構を解明し、新規分子標的治療法の確立が必要である。本研究の目的は、大動脈解離における中膜変性の分子病態機構を明らかにすることである。
本研究では、Etsファミリーの転写因子Spi-Bに着目し、大動脈解離発症との関連について調査した。アンギオテンシンⅡ(ANGⅡ)の持続注射によるSpi-Bノックアウト(KO)マウスを用いた大動脈解離モデルを確立し、野生型マウスとSpi-B KOマウスの両者にANGⅡによる高血圧負荷を行い大動脈解離の前段階状態を惹起した。その上で、病理組織学的・免疫組織化学的解析・遺伝子発現動態の解析・蛋白質発現動態の解析を行った。その結果、Spi-BをKOすると大動脈が構造的に脆弱となることが判明した。それにはSpi-B発現線維芽細胞から産生される大動脈構成蛋白が大きな役割を果たしていることを明らかにした。
大動脈解離は「突然死」の原因となる疾患のひとつである。何らかの原因で大動脈構造の変性が起こり大動脈が脆弱な状態となった結果、血圧上昇を契機に大動脈中膜の解離が生じることで大動脈解離が発症すると考えられている。一方、大動脈構造変性に対する予防法は確立しておらず、大動脈解離を発症して初めて治療が行われているのが現状である。本研究の結果により、Spi-Bが大動脈の構造維持に寄与していることが明らかになった。今後Spi-Bを標的とした新規分子標的治療の礎となると考えられる。
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